HEAD-UP DISPLAY AND MOVING BODY
本開示は、裸眼立体視表示可能なヘッドアップディスプレイおよびヘッドアップディスプレイを搭載した移動体に関する。
自動車等の車両に乗った運転手の視野に、運転を支援するための補助情報の虚像を重畳表示する手段として、ヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display:HUD)が知られている。さらに、二眼式立体ディスプレイにおいて、走行速度及び燃料残量のように常時提供情報は、運転者から結像距離離れた位置に存在すると運転者が視認するように常時表示され、ナビゲーション用矢印表示のように随時提供情報は、運転者から結像距離離れた位置に存在し、その後に、運転者から交差点に向かう方向へ遠ざかるように徐々に移動し、最終的に交差点上に近接して存在すると運転者が視認するように表示される、ヘッドアップディスプレイが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
本開示は、視認性をより向上させる裸眼立体視表示可能なヘッドアップディスプレイを提供することを目的とする。
本開示におけるヘッドアップディスプレイは、画像の表示を制御する制御部と、右眼用虚像画像を表示する右眼用画素と、左眼用虚像画像を表示する左眼用画素とが交互に配置された画像表示素子と、画像表示素子の画素の配列に対して所定の角度で傾斜して配置され、画像表示素子の出力を右眼方向及び左眼方向に振り分ける光学素子が所定の周期で配置された光学系と、画像表示素子と光学系との間に配置され、偏光方向を画像表示素子の画素の配列に対して回転する第1の波長板と、を備える。
さらに、本開示における移動体は、本開示のヘッドアップディスプレイと、ヘッドアップディスプレイが出力する光を反射するウインドシールドと、を備える。
本開示は、視認性をより向上させるヘッドアップディスプレイおよび移動体を提供できる。
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
(実施の形態1)
[1-1.ヘッドアップディスプレイの構成]
制御部240は、表示ユニット200の画像の表示を制御する。表示ユニット200は、画像を表示する。表示する画像としては、道路進行案内や、前方車両までの距離、車のバッテリー残量、現在の車速など、各種の情報がある。表示ユニット200が表示した画像は、ウインドシールド400を反射し、自動車10の観察者Dのアイボックス500内に導いて虚像Iを表示する。アイボックス500は、観察者Dが虚像Iを欠けることなく視認できる範囲である。
[1-2.表示ユニットの構成(その1)]
画像表示素子210は、液晶ディスプレイである。なお、画像表示素子210は、液晶ディスプレイに限られず、有機EL(Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(Plasma Display Panel:PDP)等でも良い。
画像表示素子210は、左眼用の画像を表示するための左眼用画素と右眼用の画像を表示するための右眼用画素が交互に配列されている素子である。
液晶レンズ230は、画像を立体表示する光学素子である。そのため、画像を立体表示する目的を満たせるものであれば、液晶レンズ230に限られない。光学素子は、視差バリア方式の光学素子やレンチキュラーレンズなどでもよい。
液晶レンズ230は、液晶をレンズ上の空間に封印し、液晶の配向方向に応じて屈折率が異なる性質を利用するレンズである。そして、液晶レンズ230に印加する電圧を調整することで屈折率を変化させ所望の焦点距離を得る。
画像表示素子210の右眼用画素から右眼用虚像画像を表示し、画像表示素子210の左眼用画素から左眼用虚像画像を表示するために、液晶レンズ230のレンズの配列は、画像表示素子210の各画素の配列に対して所定の角度で傾斜して配置されている。
このように液晶レンズ230を傾斜して配列すると、画像表示素子210の各画素と液晶レンズ230の光学素子のピッチとの干渉によるモアレの発生を抑制できる。この場合、液晶レンズ230内の液晶分子の配向方向も液晶レンズ230の傾きにそって配向させることで、輝度の低下を防ぐことができる。
画像表示素子210と液晶レンズ230の間に、第1の波長板220を配置する。第1の波長板220は、1/2波長板である。
第1の波長板220は、画像表示素子210から出力される光の偏光方向から液晶レンズ230の配向方向に回転させる。
第1の波長板220を、画像表示素子210から出力される光の偏光方向を液晶レンズ230の配列方向に回転させることで、輝度の低下を抑制できる。
なお、第1の波長板220は、液晶レンズ230の配列方向にぴったり合わせなくても、画像表示素子210の各画素の配列方向から少しでも傾いていれば、輝度の低下を抑制できる。
図3は、観察者Dの左眼用虚像画像ILと右眼用虚像画像IRと立体像Sの関係を示す図である。観察者Dは、ヘッドアップディスプレイ100を用いると、所定の位置に視差画像の虚像Iである左眼用虚像画像IL及び、右眼用虚像画像IRが表示される。観察者Dは、左眼用虚像画像IL及び、右眼用虚像画像IRを見ることで、これらを立体視して融像した立体像Sが所定の位置より遠方にあるように知覚する。
[1-3.表示ユニットの構成(その2)]
図5は、実施の形態1における別のヘッドアップディスプレイの斜視図である。ヘッドアップディスプレイ101は、表示ユニット201と制御部240とで構成される。表示ユニット201は、画像表示素子210と、第1の波長板220と、液晶レンズ230と、第2の波長板250とからなる。ヘッドアップディスプレイ101の構成は、ヘッドアップディスプレイ100の構成に対して、第2の波長板250が追加されている。ヘッドアップディスプレイ101の構成は、第2の波長板250を除き、ヘッドアップディスプレイ100と同じ構成である。
第2の波長板250は、1/2波長板である。液晶レンズ230から出力される光のS波の偏光成分が多くなるように、第2の波長板250を回転する。
このように、第2の波長板250を回転することで、観察者Dに入射する光の輝度を高くすることができる。
さらに、観察者Dが、偏光サングラスを使用しているとする。偏光サングラスは、S波の偏光成分の透過率を抑える。そのため、液晶レンズ230から出力される光のS波の偏光成分が多くなるように、第2の波長板250を回転させると、ウインドシールド400から出力される光が偏光サングラスでS波の偏光成分が抑えられる。そのため、観察者Dがサングラスを使用すると、観察者Dに入る光の輝度が抑えられ、虚像Iの視認性が落ちる。
観察者Dが偏光サングラスを使用することを想定する場合、液晶レンズ230から出力される光のS波の偏光成分とP波の偏光成分が1対1になるように、第2の波長板250を回転する。
このように第2の波長板250を回転することで、観察者Dに入射する光の輝度を調整し、観察者Dに入射する光の輝度を高くすることができる。
[1-4.効果]
さらに、本実施の形態のヘッドアップディスプレイは、第1の波長板の偏光方向は、光学系が配置される所定の角度と略同じである。
この構成により、画像表示素子210と液晶レンズ230によるモアレの発生を防ぎ、輝度の低下を抑制できる。
また、本実施の形態のヘッドアップディスプレイは、光学系から出力される光の方向に、第2の波長板を備える。
さらに、本実施の形態のヘッドアップディスプレイは、第2の波長板の偏光方向は、光学系から出力される光のS波の偏光成分が多くなるように回転する。
この構成により、観察者Dに入射する光の輝度を高くすることができる。
さらに、本実施の形態のヘッドアップディスプレイは、第2の波長板の偏光方向は、光学系から出力される光のS波の偏光成分とP波の偏光成分が略同じになるように回転する。
この構成により、観察者Dが偏光サングラスを使用している時に、観察者Dに入射する光の輝度を高くすることができる。
(実施の形態2)
[2-1.ヘッドアップディスプレイの構成]
実施の形態1のヘッドアップディスプレイ101では、観察者Dが偏光サングラスを使用した場合と偏光サングラスを使用しない場合で第2の波長板250から出力される光は、それぞれ一定になる構成であった。
実施の形態2では、観察者Dが偏光サングラスを使用した場合と偏光サングラスを使用しない場合で、ヘッドアップディスプレイから出力される光の輝度を変更可能なヘッドアップディスプレイを提供する。
[2-2.表示ユニットの構成]
表示ユニット202は、画像表示素子210と、第1の波長板220と、液晶レンズ230と偏光変換素子260とからなる。
ヘッドアップディスプレイ102の構成は、実施の形態1のヘッドアップディスプレイ100の構成に対して、偏光変換素子260とスイッチ270が追加されている。ヘッドアップディスプレイ102の構成は、偏光変換素子260とスイッチ270を除き、ヘッドアップディスプレイ100と同じ構成である。
偏光変換素子260は、例えば、ねじれネマチック液晶(Twisted Nematic liquid crystal)である。ねじれネマチック液晶は、電圧を印加すると、透過前後で偏光方向を90度回転する。
スイッチ270は、自動車10内部の観察者Dがオン・オフの切り替えができるような位置に配置される。観察者Dが偏光サングラスを使用していない時は、観察者Dはスイッチ270をオフに設定し、観察者Dが偏光サングラスを使用している時は、観察者Dはスイッチ270をオンに設定する。
制御部240は、スイッチ270の状態を検出する。スイッチ270がオンに設定されている場合、制御部240は偏光変換素子260に電圧を印加し、スイッチ270がオフに設定されている場合、制御部240は偏光変換素子260に電圧を印加しない。
偏光変換素子260に電圧が印加されていない時、偏光変換素子260は、S波の偏光成分が多く透過するように設定する。そして、ウインドシールド400への反射偏光特性は、S波の偏光成分が多くなる。
偏光変換素子260に電圧が印加されている時、偏光変換素子260は、透過前後で偏光特性を90度回転し、P波の偏光成分が多く透過するように設定する。そして、ウインドシールド400への反射偏光特性は、P波の偏光成分が多くなる。
なお、偏光変換素子260に電圧が印加されている時、偏光変換素子260は、透過前後で偏光特性を90度回転するように設定したが、90度回転させなくてもよい。偏光変換素子260は、透過前後で偏光特性を0度以上90度以下であればよい。
なお、観察者Dが偏光サングラスを使用している時に偏光変換素子260に電圧を印加する構成としたが、これに限らない。例えば、観察者Dが偏光サングラスを使用していない時に偏光変換素子260に電圧を印加するように構成してもよい。
なお、本実施の形態では、観察者Dの偏光サングラス使用の有無は、スイッチを用いる構成としたが、これに限らない。例えば、観察者Dの偏光サングラス使用の有無を自動車10内部にカメラ等の各種センサが自動で認識するように構成してもよい。
[2-3.効果]
さらに、本実施のヘッドアップディスプレイは、偏光変換素子は、制御部により電圧が印加されていない時は、光学系から出力される光のS波の偏光成分が多く透過するように設定され、制御部により電圧が印加されている時は、光学系から出力される光のP波の偏光成分が多く透過するように設定される。
この構成により、観察者Dの偏光サングラスの使用有無に応じて観察者Dに入射する光の輝度を高くすることができる。
(他の実施形態)
上記実施の形態では、ウインドシールドを用いたヘッドアップディスプレイを説明したが、これに限定されない。虚像表示のために、正のパワーのあるミラー或いは、凸レンズを光路に介したヘッドアップディスプレイにも適用可能である。
表示ユニットは上記実施の形態の構成に限定されない。表示ユニットは、虚像光学系を有してもよい。
本開示は、裸眼立体視可能なヘッドアップディスプレイおよびヘッドアップディスプレイを搭載した移動体に、適用可能である。
10 自動車 A head-up display according to the present disclosure comprises: a control unit which controls a display of an image; an image display element in which right-eye pixels which display a right-eye virtual image and left-eye pixels which display a left-eye virtual image are alternately positioned; an optical system wherein optical elements, which are positioned obliquely at a prescribed angle to arrays of the pixels of the image display element and which divide the output of the image display element into a right-eye direction and left-eye direction, are positioned at a prescribed periodicity; and a first waveplate which is positioned between the image display element and the optical system and which rotates a polarization direction with respect to the arrays of the pixels of the image display element.
画像の表示を制御する制御部と、
前記第1の波長板の前記偏光方向は、前記光学系が配置される前記所定の角度と略同じである、
前記光学系から出力される光の方向に、第2の波長板を備える、
前記第2の波長板の偏光方向は、前記光学系から出力される光のS波の偏光成分が多くなるように回転する、
前記第2の波長板の偏光方向は、前記光学系から出力される光のS波の偏光成分とP波の偏光成分が略同じになるように回転する、
前記光学系から出力される光の方向に、偏光変換素子を備え、
前記偏光変換素子は、
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイと、
以下、図1~5を用いて、実施の形態1を説明する。
図1は、実施の形態1におけるヘッドアップディスプレイを搭載した、移動体の断面を示す模式図である。図1において、ヘッドアップディスプレイ100は、自動車10の運転席側のダッシュボード内に備えられる。ヘッドアップディスプレイ100は、表示ユニット200と、制御部240とで構成される。
図2は、実施の形態1におけるヘッドアップディスプレイの斜視図である。表示ユニット200は、画像表示素子210と、第1の波長板220と、液晶レンズ230とからなる。
次に、ウインドシールド400の偏光反射特性について説明する。図4は、ウインドシールドの偏光反射特性を説明するグラフである。横軸は入射角θi(度)、縦軸は反射率φである。実線は入射角θiのS波の偏光成分を示し、点線は、入射角θiのP波の偏光成分を示している。図1に示すように、入射角θiは、表示ユニット200の中心から出力された光線と、ウインドシールド400の垂線とのなす角である。表示ユニット200の配置と、ウインドシールド400の傾きと、観察者Dの視点位置とによって、入射角θiが決定される。図4に示すように、入射角θiが20度以上になるとP波の偏光成分は、反射率φが0.05以下となり低くなる。特に、入射角θiが60度近傍の場合に、反射率φが0となり、ブリュースター角になる。ウインドシールド400の反射率φが高ければ、観察者Dに入射する光の輝度が高くなる。従って、表示ユニット200から出力される光線は、S波の偏光成分が多いほうが、観察者Dに入射する光の輝度が高くなるといえる。
以上のように、本実施の形態のヘッドアップディスプレイは、画像の表示を制御する制御部と、右眼用虚像画像を表示する右眼用画素と、左眼用虚像画像を表示する左眼用画素とが交互に配置された画像表示素子と、画像表示素子の画素の配列に対して所定の角度で傾斜して配置され、画像表示素子の出力を右眼方向及び左眼方向に振り分ける光学素子が所定の周期で配置された光学系と、画像表示素子と光学系との間に配置され、偏光方向を画像表示素子の画素の配列に対して回転する第1の波長板と、を備える。
以下、図6を用いて、実施の形態2を説明する。なお、実施の形態2では、実施の形態1の構成と異なる部分を中心に説明し、同じ構成については説明を省略する。
実施の形態2におけるヘッドアップディスプレイ102の構成について、実施の形態1で説明したヘッドアップディスプレイ100と異なる点を中心に説明する。
図6は、実施の形態2におけるヘッドアップディスプレイの斜視図である。図6において、ヘッドアップディスプレイ102は、表示ユニット202と制御部240とスイッチ270とで構成される。
以上のように、本実施の形態のヘッドアップディスプレイは、画像の表示を制御する制御部と、右眼用虚像画像を表示する右眼用画素と、左眼用虚像画像を表示する左眼用画素とが交互に配置された画像表示素子と、画像表示素子の画素の配列に対して所定の角度で傾斜して配置され、画像表示素子の出力を右眼方向及び左眼方向に振り分ける光学素子が所定の周期で配置された光学系と、画像表示素子と光学系との間に配置され、偏光方向を画像表示素子の画素の配列に対して回転する第1の波長板と、光学系から出力される光の方向に、偏光変換素子を備える。そして制御部は、偏光変換素子の電圧の印加を制御する。
以上のように、本開示の例示として、実施の形態1、2を説明した。しかし、本開示技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
100,101,102 ヘッドアップディスプレイ
200,201,202 表示ユニット
210 画像表示素子
220 第1の波長板
230 液晶レンズ
240 制御部
250 第2の波長板
260 偏光変換素子
270 スイッチ
400 ウインドシールド
500 アイボックス
右眼用虚像画像を表示する右眼用画素と、左眼用虚像画像を表示する左眼用画素とが交互に配置された画像表示素子と、
前記画像表示素子の画素の配列に対して所定の角度で傾斜して配置され、前記画像表示素子の出力を右眼方向及び左眼方向に振り分ける光学素子が所定の周期で配置された光学系と、
前記画像表示素子と前記光学系との間に配置され、偏光方向を前記画像表示素子の画素の配列に対して回転する第1の波長板と、を備える、
ヘッドアップディスプレイ。
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
請求項3に記載のヘッドアップディスプレイ。
請求項3に記載のヘッドアップディスプレイ。
前記制御部は、前記偏光変換素子の電圧の印加を制御する、
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
前記制御部により電圧が印加されていない時は、前記光学系から出力される光のS波の偏光成分が多く透過するように設定され、
前記制御部により電圧が印加されている時は、前記光学系から出力される光のP波の偏光成分が多く透過するように設定される、
請求項6に記載のヘッドアップディスプレイ。
前記ヘッドアップディスプレイが出力する光を反射するウインドシールドと、を備える、
移動体。





