CLINKER AGGREGATE AND CEMENT CONCRETE USING SAME

28-12-2017 дата публикации
Номер:
WO2017221685A1
Принадлежит: デンカ株式会社
Контакты:
Номер заявки: JP08-02-201784
Дата заявки: 05-06-2017

クリンカー骨材、それを用いたセメントコンクリート
[1]

 本発明は、セメントコンクリートに使用される骨材に関する。

[2]

 近年、コンクリートの耐久性に関して、大きな関心が寄せられている。コンクリート構造物の劣化要因のひとつとして、塩化物イオンの存在によって鉄筋腐食が顕在化する塩害が挙げられる。
 塩害を抑制するための方法として、コンクリート構造物に塩化物イオン浸透抵抗性を与える種々の手法が知られている。例えば、コンクリート硬化体の水/セメント比を小さくする方法が知られている(非特許文献1参照)。
 一方、セメント混和材を用いて塩化物イオン浸透抵抗性を向上させる方法が提案されている(特許文献1参照)。また、クリンカーを骨材として用いてコンクリートの耐久性を向上させる技術も知られている(特許文献2参照)。
 しかしながら、水/セメント比を小さくする方法では、施工性が損なわれるだけでなく、抜本的な対策とはならないという課題があった。また、塩害抵抗性だけでなく、ひび割れ抵抗性にも優れたモルタルやコンクリートが求められていた。

[3]

岸谷孝一、西澤紀昭他編、コンクリートの耐久性シリーズ、塩害(I)、技報堂出版、pp.49-54、1986年5月

[4]

特許第5688073号公報特開2016-3149号公報

[5]

 本発明は、セメントコンクリートの流動性が良好で、曲げ強度が高く、かつ塩化物イオンの浸透を抑制できる、クリンカー骨材、それを用いたセメントコンクリートを提供する。

[6]

 すなわち、本発明は、粗粒率が2.0~3.5、0.15mm以下の微粒分が10%以下であり、CaO成分が15~40質量%、Al成分が50~75質量%であるクリンカー骨材であり、好ましくは、空隙率が10体積%以下であるクリンカー骨材である。また、上記のクリンカー骨材を用いてなるセメントコンクリートである。

[7]

 本発明のクリンカー骨材を用いたセメントコンクリートは、流動性が良好で、曲げ強度が高く、かつ塩化物イオンの浸透を抑制できるという効果を奏する。

[8]

 以下、本発明を詳細に説明する。
 なお、本発明で云う“部”や“%”は、特に規定のない限り質量基準である。
 また、本発明で云うセメントコンクリートとは、モルタル、コンクリートを含むものである。

[9]

 本発明のクリンカー骨材は、CaO成分が15.0~40.0%、Al成分が50.0~75.0%の範囲にあることが好ましく、CaO成分が15.0~40.0%、Al成分が55.0~75.0%の範囲にあることがより好ましく、CaOが20.0~35.0%、Alが60.0~70.0%であることがさらに好ましい。この範囲外では、流動性や強度発現性の低下をまねいたり、塩害の抑制効果が小さかったりする場合がある。本発明のクリンカー骨材の主要な化合物としては、12CaO・7Al、CaO・Al、CaO・2Al、CaO・6Alなどのカルシウムアルミネートや、MgAlが挙げられる。

[10]

 本発明のクリンカー骨材の製造原料は、カルシウム原料としては、石灰石や消石灰、金属カルシウムなどが挙げられる。アルミニウム原料としては、ボーキサイトやアルミ残灰、金属アルミニウムなどが挙げられる。一般の工業原料には、Fe、TiO、KO、NaO等の不純物が含まれている。これらの不純物は、12%以下(好ましくは11.5%以下)の範囲であれば存在しても差支えない。

[11]

 本発明ではクリンカー骨材を主に細骨材として利用する。細骨材の粒度分布の指標となる粗粒率は2.0~3.5が好ましく、2.0~3.0がより好ましい。また、0.15mm以下の微粒分が10%以下が好ましく、6%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましい。前記範囲外では、モルタルやコンクリートの流動性が低下し、曲げ強度の向上や塩化物イオンの浸透抑制効果が得られない場合がある。

[12]

 本発明のクリンカー骨材の空隙率は、10体積%以下であることが好ましく、6体積%以下であることより好ましく、3体積%以下であることさらに好ましい。空隙率はアルキメデス法によって測定することが可能である。つまり、水を吸水させた骨材の全体積と質量を測定した後、100℃で質量が一定となるまで乾燥させ、乾燥前後の質量分を空隙として算出するものである。
 クリンカー骨材の空隙率が10体積%を超えると、コンクリートの流動性が低下し、曲げ強度の向上や塩化物イオンの浸透抑制効果が得られない場合がある。空隙率を小さくするには、クリンカー骨材を合成する際に溶融させ、密実な組織を形成させることが重要となる。

[13]

 本発明の骨材の製造方法は、特に限定されるものではないが、カルシウム原料、アルミニウム原料を混合し、加熱さらには溶融して冷却し、焼成品を粉砕して、任意の大きさに調整することが好ましい。
 なお、本発明のクリンカー骨材は、各種金属精錬の際に副生するカルシウムアルミネートを主成分とするクリンカーを粉砕して、任意の大きさに調製することが出来る。

[14]

 本発明で使用するセメントとしては、普通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメントや、これらポルトランドセメントに高炉スラグやフライアッシュやシリカを混合した各種混合セメント、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰等を原料として製造された廃棄物利用セメント(エコセメント)、石灰石微粉末や高炉徐冷スラグ微粉末等を混合した各種フィラーセメント等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上が使用可能である。

[15]

 本発明では、高炉水砕スラグ微粉末や石灰石微粉末やフライアッシュやシリカフューム等の混和材料、凝結調整剤、膨張材、急硬材、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、防凍剤、収縮低減剤、ポリマー、スチールファイバーやビニロンファイバーや炭素繊維等の繊維質物質、ベントナイト等の粘土鉱物、及びハイドロタルサイト等のアニオン交換体等の添加剤、通常のセメント材料に用いられる公知の添加剤、細骨材、並びに粗骨材等からなる群の1種又は2種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で併用することができる。

[16]

「実験例1」
 石灰石、ボーキサイトを原料に用いて、表1に示す化学成分となるように原料を調合し、電気炉を用いて1600℃で溶融して、カルシウムアルミネートクリンカーを合成した。一部、焼成温度を1400℃で合成したものや、金属精錬の過程で副生するカルシウムアルミネートを用いた。これらクリンカーを粉砕機で粒度調製し、粗粒率2.25とし、0.15mm以下の微粒分量を5%とした。市販の石灰石系、ケイ石系の骨材を比較とした。
 これら骨材を細骨材としてモルタルを調製した。配合は、セメント100部に対して、細骨材225部、水50部を配合して練混ぜた。型枠に成型後、試験体の曲げ強度、塩水に浸漬した際の塩化物イオンの浸透深さを測定した。

[17]

<使用材料>
石灰石:CaO:51.4%、Al:0.9%、Fe:0.8%、SiO:2.7%、MgO:2.1%、強熱減量41.4%
ボーキサイト:CaO:1.7%、Al:76.5%、Fe:1.7%、SiO:6.8%、MgO:0.9%、強熱減量12.0%
スラグ:バナジウム精錬過程で発生。CaO:31.3%、Al:57.6%、MgO:3.94%、SiO:4.4%、その他:2.76%。
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品、ブレーン値3,200cm/g、密度3.15g/cm
骨材(1):珪砂、粗粒率2.83、密度2.67g/cm
骨材(2):石灰砂、粗粒率2.25、密度2.70g/cm
水:水道水

[18]

<試験方法>
骨材の粗粒率:JIS A 1102 に準じて測定した。
骨材の微粒分:JIS A 1103 に準じて測定した。
骨材の化学成分:JIS R 5202 に準じて測定した。
骨材の空隙率:アルキメデス法で測定した。
モルタルフロー:JIS R 5201に準じて測定した。
曲げ強さ:JIS R 5201に準じて、材齢28日まで20℃の水中養生を行った供試体のフロー値を測定塩化物イオンの浸透深さ:材齢28日まで20℃の水中養生を行った後、疑似海水(ダイゴ人工海水/日本製薬社製)に供試体を13週間浸漬し、塩化物イオンの浸透深さを硝酸銀-フルオロセイン法にて確認した。

[19]

JPEG00000002.jpg162170

[20]

 表1より、本発明のクリンカー骨材は、流動性への影響が小さく、通常の骨材を使用した場合に比べて、曲げ強度が高い値を示し、かつ塩化物イオン浸透深さが小さくなることが分かる。

[21]

「実験例2」
 実験No.1-5の骨材を用いて、骨材の粗粒率と0.15mm以下の微粒分量を変えたこと以外は、実験例1と同様に試験を行った。

[22]

JPEG00000003.jpg99170

[23]

 表2より、本発明のクリンカー骨材は、流動性への影響が小さく、通常の骨材を使用した場合に比べて、曲げ強度が高い値を示し、かつ塩化物イオン浸透深さが小さくなることが分かる。

[24]

 本発明のクリンカー骨材を用いたセメントコンクリートは、流動性が良好で、曲げ強度が高く、かつ塩化物イオンの浸透を抑制できるという効果を奏するため、土木建築分野で好適に用いられる。



[1]

A clinker aggregate which contains 10% or less of a fine particle fraction of 0.15 mm or less having a coarse grain ratio of 2.0-3.5, 15-40% by mass of a CaO component and 50-75% by mass of an Al2O3 component, and which preferably has a porosity of 10% by volume or less; and a cement concrete which uses this clinker aggregate.



 粗粒率が2.0~3.5、0.15mm以下の微粒分が10%以下であり、CaO成分が15~40質量%、Al成分が50~75質量%であるクリンカー骨材。

 空隙率が10体積%以下である請求項1記載のクリンカー骨材。

 請求項1または2記載のクリンカー骨材を用いてなるセメントコンクリート。