RELEASE DEVICE AND RELEASE METHOD
本発明は、放出処理装置及び放出処理方法に関する。
従来、特定気体成分を吸収した吸収液から特定気体成分を放出させるための放出処理装置が知られている。例えば、下記特許文献1には、そのような放出処理装置の一例が開示されている。
特許文献1には、特定気体成分としてのCO2を回収するためのCO2回収装置の一部として放出処理装置が開示されている。この特許文献1のCO2回収装置では、吸収塔でCO2含有ガスから吸収液にCO2を吸収させ、そのCO2を吸収した吸収液から再生塔を用いた放出処理装置でCO2を放出させてCO2を回収するようになっている。
具体的に、再生塔には、吸収塔でCO2を吸収した吸収液であるリッチ溶液が供給され、その再生塔内において上部からリッチ溶液が散布される。再生塔内には、充填層が設けられている。再生塔内において散布されたリッチ溶液は、この充填層中を通って下降し、その過程で当該リッチ溶液からCO2が遊離する。これにより、リッチ溶液は、ほぼ全てのCO2が除去された吸収液であるリーン溶液(再生液)となり、当該リーン溶液は再生塔内の底部に溜まる。
再生塔内の底部に溜まったリーン溶液の少なくとも一部は、再生加熱器に導かれ、その再生加熱器において加熱されて蒸発し、その後、再生塔内の下部に戻される。再生塔内の下部に戻されたリーン溶液の蒸気は、再生塔内を上昇し、下降するリッチ溶液と接触してリッチ溶液からCO2を遊離させる。これにより、リッチ溶液からCO2が放出される。再生塔は、その頂部から再生処理後の気体が排出されるようになっている。この再生塔から排出される気体は、前記蒸気とリッチ溶液から遊離したCO2との混合気体である。再生塔から排出された混合気体は、コンデンサに導入される。コンデンサでは混合気体中の蒸気のみが凝縮されて分離され、残りのCO2はコンデンサから排出されて回収される。
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、リッチ溶液から特定気体成分としてのCO2を放出させる放出処理に要するエネルギが増大するとともに、放出処理の効率が悪いという問題がある。その理由は以下の通りである。
特許文献1では、再生加熱器で生成したリーン溶液の蒸気を用いて再生塔でリッチ溶液からCO2を遊離させている。リーン溶液を気化させて再生塔でのリッチ溶液からのCO2の遊離に必要な蒸気を得るためには再生加熱器で大きな熱量を要する。このため、CO2の放出処理に要するエネルギが増大する。
また、再生塔内でリッチ溶液から遊離したCO2は、そのリッチ溶液と接触した蒸気へ移動するが、このCO2の移動速度によって放出処理の効率が左右される。しかし、再生塔内のように容積の大きい空間では、リッチ溶液と蒸気との単位体積当たりの接触面積が小さいため、リッチ溶液から蒸気へのCO2の移動速度を向上させることは難しい。その結果、CO2の放出処理の効率を向上させることが難しくなる。
本発明の目的は、特定気体成分を吸収した吸収液からその特定気体成分を放出させる処理に要するエネルギを低減可能であり且つ特定気体成分の放出処理の効率を向上可能な放出処理装置及び放出処理方法を提供することである。
本発明の一局面に従う放出処理装置は、特定気体成分を吸収した吸収液であるリッチ吸収液から前記特定気体成分を放出させるための放出処理装置であって、前記リッチ吸収液を供給するリッチ吸収液供給部から前記リッチ吸収液を受け入れるように前記リッチ吸収液供給部に接続されるとともに前記リッチ吸収液よりも沸点が低く且つ前記リッチ吸収液に対して非相溶性の遊離剤を供給する遊離剤供給部から前記遊離剤を受け入れるように前記遊離剤供給部に接続された放出流路を内部に有する流路構造体を備え、前記放出流路は、受け入れた前記リッチ吸収液が流動しながら前記特定気体成分を放出するように当該リッチ吸収液を導くマイクロチャネルであり、前記放出流路は、前記特定気体成分が前記リッチ吸収液から遊離して前記遊離剤の蒸気へ移動するように前記リッチ吸収液と前記遊離剤の蒸気とを互いに接触させた状態で導く処理流路部を有する。
本発明の別の局面に従う放出処理方法は、特定気体成分を吸収した吸収液であるリッチ吸収液から前記特定気体成分を放出させるための放出処理方法であって、前記リッチ吸収液が前記特定気体成分を放出しながら流動するように当該リッチ吸収液を導くマイクロチャネルであって、前記リッチ吸収液と前記リッチ吸収液よりも沸点が低く且つ前記リッチ吸収液に対して非相溶性の遊離剤の蒸気とを互いに接触した状態で流通させることが可能な処理流路部を備えた放出流路を内部に有する流路構造体を用意する用意工程と、前記処理流路部に前記リッチ吸収液と前記遊離剤の蒸気とを互いに接触した状態で流通させることにより前記リッチ吸収液から前記特定気体成分を遊離させてその特定気体成分を前記遊離剤の蒸気へ移動させる遊離処理工程と、を備える。
まず、図1~図6を参照して、本発明の一実施形態による放出処理装置3について説明する。
本実施形態による放出処理装置3(図1参照)は、特定気体成分を吸収した吸収液であるリッチ吸収液から特定気体成分を放出させる処理を行う装置である。放出処理装置3は、特定気体成分を含有する処理ガスから吸収液に特定気体成分を吸収させ、その後、吸収液から特定気体成分を放出させて回収する吸収分離装置1の一部を構成している。
吸収分離装置1は、図1に示すように、吸収塔2と、放出処理装置3と、熱交換器6と、第1ポンプ9と、第2ポンプ10と、を備える。
吸収塔2は、特定気体成分を含有する処理ガスから吸収液に特定気体成分を吸収させる処理を行うものである。吸収塔2内の上下方向の中間の領域には、充填層12が設けられている。吸収塔2内における充填層12の上側の領域、すなわち吸収塔2内の上部の領域には、吸収液を散布する散布部14が設けられている。また、吸収塔2内における充填層12の下側の領域、すなわち吸収塔2内の下部の領域に処理ガスが導入されるようになっている。
吸収塔2内において散布部14から吸収液が散布され、その散布された吸収液は、充填層12の中を通って降下しつつ、吸収塔2内の下部の領域から上昇する処理ガスと接触する。この接触により、処理ガスから吸収液に特定気体成分が吸収される。特定気体成分を吸収した吸収液は、吸収塔2内の底部に溜まり、当該吸収塔2内から排出されるようになっている。以下、特定気体成分を吸収した吸収液のことをリッチ吸収液と称する。
一方、吸収液に特定気体成分を吸収された後の処理ガスであるオフガスは、上昇して吸収塔2の頂部から排出されるようになっている。
リッチ吸収液を排出する吸収塔2の底部の排出部は、管路を介して熱交換器6に接続されている。吸収塔2の底部の排出部と熱交換器6とを繋ぐ管路には、吸収塔2から排出されたリッチ吸収液を熱交換器6側へ送る第1ポンプ9が設けられている。第1ポンプ9は、管路、熱交換器6及び後述のリッチ吸収液導入ヘッダ34を経て流路構造体32内の放出流路50に接続されている。この第1ポンプ9は、リッチ吸収液を、管路、熱交換器6及び後述のリッチ吸収液導入ヘッダ34を経て流路構造体32内の放出流路50へ供給するリッチ吸収液供給部である。
熱交換器6は、リッチ吸収液と、後述するように放出処理部4で特定気体成分が遊離されることによってその特定気体成分の濃度が低下したリーン吸収液との間での熱交換を行うものである。熱交換器6では、熱交換によりリッチ吸収液を加熱するようになっている。
熱交換器6のリーン吸収液の出口は、管路を介して吸収塔2の散布部14に繋がっている。これにより、熱交換器6から排出されたリーン吸収液は、吸収塔2へ供給されて散布部14から吸収液として吸収塔2内に散布されるようになっている。
熱交換器6のリッチ吸収液の出口は、管路を介して放出処理部4に繋がっている。これにより、熱交換器6から排出されたリッチ吸収液は、放出処理部4へ供給されるようになっている。
放出処理装置3は、熱交換器6から当該放出処理装置3の放出処理部4へ送られるリッチ吸収液から特定気体成分を放出させてその特定気体成分を回収するための処理を行う。この放出処理装置3は、放出処理部4と、凝縮器8とを備える。
放出処理部4は、リッチ吸収液から特定気体成分を遊離させてその特定気体成分を遊離剤中へ移動させることによりリッチ吸収液からの特定気体成分の放出処理を行うものである。換言すれば、放出処理部4は、リッチ吸収液から特定気体成分を放出させてそのリッチ吸収液を特定気体成分の濃度が低下したリーン吸収液に再生する機能を有する。
放出処理部4は、図2に示すように、流路構造体32と、リッチ吸収液導入ヘッダ34と、遊離剤導入ヘッダ36と、分離ヘッダ38と、熱媒体導入ヘッダ40と、熱媒体排出ヘッダ42と、を有する。
流路構造体32は、リッチ吸収液を流通させながらそのリッチ吸収液から特定気体成分を放出させる多数の放出流路50(図3参照)と、熱媒体を流通させて、放出流路50のうちの後述する合流流体流路部54を流れる流体を加熱するための熱を供給する多数の熱媒体流路56(図5参照)とを内部に有する。放出流路50と熱媒体流路56は、微小な流路径を有するマイクロチャネルである。また、熱媒体流路56は、本発明における熱供給部及び処理流路用熱供給部の一例である。
流路構造体32は、図2に示すように、例えばステンレス鋼からなる多数の板が積層されて互いに接合されることによって形成された積層体からなる。流路構造体32を構成する多数の板には、複数の放出流路基板44と、複数の熱媒体流路基板45と、複数の封止板46とが含まれる。流路構造体32では、放出流路基板44と熱媒体流路基板45とがそれらの間に封止板46を挟みながら交互に繰り返し積層されている。
各放出流路基板44には、図3に示すように、複数の放出流路50が並列に配置された状態で形成される。各放出流路50は、図3及び図4に示すように、第1受入流路部51と、第2受入流路部52と、合流部53と、合流流体流路部54とを有する。
第1受入流路部51は、リッチ吸収液が導入されてそのリッチ吸収液を合流部53へ導く流路である。第2受入流路部52は、遊離剤が導入されてその遊離剤を合流部53へ導く流路である。合流部53は、第1受入流路部51の下流側の端部と第2受入流路部52の下流側の端部に繋がっている。合流部53は、第1受入流路部51からリッチ吸収液を受け入れるとともに第2受入流路部52から遊離剤を受け入れてそれらのリッチ吸収液と遊離剤とを合流させる部分である。合流流体流路部54は、合流部53の下流側に繋がっている。合流流体流路部54は、合流部53から当該合流流体流路部54に流入したリッチ吸収液と遊離剤とを互いに接触した状態で流通させながら、遊離剤を気化させる気化処理と、リッチ吸収液から特定気体成分を遊離させて遊離剤蒸気中に移動させる遊離処理とが行われる流路である。
図6では、放出流路50を模式的に示している。この図6に示されているように、合流流体流路部54は、合流部53に繋がる上流側の気化流路部54bと、その気化流路部54bの下流側に繋がる遊離流路部54cとを有する。気化流路部54bは、合流部53で合流したリッチ吸収液と遊離剤との合流流体をその合流部53から受け入れるように当該合流部53の下流側に繋がる。気化流路部54bは、受け入れた前記合流流体中の遊離剤が気化して当該遊離剤の蒸気を発生するような熱を熱媒体流路56から受けるように構成されている。すなわち、気化流路部54bは、供給される熱により遊離剤を気化させて遊離剤の蒸気を発生させる気化処理が行われる部分である。遊離流路部54cは、遊離処理が行われる部分である。具体的には、遊離流路部54cは、気化流路部54bから当該遊離流路部54cに流入したリッチ吸収液と遊離剤蒸気とを、リッチ吸収液から特定気体成分が遊離して遊離剤蒸気中に移動するようにそのリッチ吸収液と遊離剤蒸気とが互いに接触した状態で流通させる部分である。遊離流路部54cは、本発明における処理流路部の一例である。
各放出流路基板44の一方の板面には、各第1受入流路部51に対応した形状の微細な複数の溝と、各合流流体流路部54に対応した形状の微細な複数の溝とが形成されている。当該一方の板面におけるそれらの溝の開口がこの一方の板面に積層された封止板46(図2参照)によって封止されることにより、各第1受入流路部51及び各合流流体流路部54が形成されている。
また、各放出流路基板44の前記一方の板面と反対側の板面には、各第2受入流路部52に対応した形状の微細な複数の溝が形成されている。この反対側の板面におけるそれらの溝の開口がこの反対側の板面に積層された封止板46(図2参照)によって封止されることにより、各第2受入流路部52が形成されている。
各放出流路基板44には、各合流部53に対応した形状の複数の貫通孔が前記一方の板面から前記反対側の板面へ当該放出流路基板44を厚み方向に貫通するように形成されている。その各貫通孔によって各合流部53が形成されている。
各第1受入流路部51は、リッチ吸収液を受け入れる第1導入口51aをその上流側の端部に有する。各第2受入流路部52は、遊離剤を受け入れる第2導入口52aをその上流側の端部に有する。また、各合流流体流路部54は、遊離処理後のリーン吸収液と遊離剤蒸気を流出させる流出口54aをその下流側の末端に有する。各第1導入口51a、各第2導入口52a及び各流出口54aは、流路構造体32のそれぞれ対応する側面において開口している。
各熱媒体流路基板45には、図5に示すように複数の熱媒体流路56が並列に配置された状態で形成される。各熱媒体流路56は、蛇行形状を有する。各熱媒体流路基板45の一方の板面には、各熱媒体流路56に対応した形状の微細な複数の溝が形成されている。この一方の板面におけるそれらの溝の開口がこの板面に積層された封止板46(図2参照)によって封止されることにより、各熱媒体流路56が形成されている。
流路構造体32では、放出流路基板44と熱媒体流路基板45とがそれらの間に封止板46を挟みながら交互に積層されていることにより、各放出流路基板44に形成された複数の放出流路50と各熱媒体流路基板45に形成された複数の熱媒体流路56とが各板の積層方向において交互に配列されている。前記積層方向において隣り合う放出流路50と熱媒体流路56は、当該放出流路50を流れる混合流体と当該熱媒体流路56を流れる熱媒体とが互いに熱交換可能な距離をそれらの間にあけて隣接して配置されている。各熱媒体流路56は、熱媒体を受け入れる導入口56aをその上流側の端部に有する。また、各熱媒体流路56は、熱媒体を流出させる流出口56bをその下流側の端部に有する。各導入口56a及び各流出口56bは、流路構造体32のそれぞれ対応する側面において開口している。
リッチ吸収液導入ヘッダ34(図2参照)は、各放出流路50(図3参照)の第1導入口51aにリッチ吸収液を分配して供給するためのものである。リッチ吸収液導入ヘッダ34は、流路構造体32内の全ての放出流路50の第1導入口51aを一括して覆うようにその第1導入口51aが形成された流路構造体32の側面に取り付けられている。リッチ吸収液導入ヘッダ34は、管路を介して熱交換器6のリッチ吸収液の出口と繋がっている。リッチ吸収液導入ヘッダ34は、熱交換器6から排出されたリッチ吸収液が当該リッチ吸収液導入ヘッダ34に供給されるようになっている。
遊離剤導入ヘッダ36(図2参照)は、各放出流路50(図3参照)の第2導入口52aに液状の遊離剤を分配して供給するためのものである。遊離剤導入ヘッダ36は、流路構造体32内の全ての放出流路50の第2導入口52aを一括して覆うようにその第2導入口52aが形成された流路構造体32の側面に取り付けられている。
分離ヘッダ38(図2参照)は、各流出口54a(図3参照)から流出したリーン吸収液と遊離剤蒸気の混合流体を気液分離させるものである。分離ヘッダ38は、流路構造体32内の全ての放出流路50の流出口54aを一括して覆うようにその流出口54aが形成された流路構造体32の側面に取り付けられている。分離ヘッダ38の内部空間には、各流出口54aから混合流体が排出されるようになっている。この内部空間において混合流体がリーン吸収液と遊離剤蒸気とに比重差によって気液分離するようになっている。
分離ヘッダ38の下部には、当該分離ヘッダ38内で分離されたリーン吸収液を排出するための下部出口が設けられている。この下部出口は、管路を介して熱交換器6(図1参照)に繋がっている。これにより、下部出口から排出されたリーン吸収液は、管路を通じて熱交換器6へ導かれるようになっている。
また、分離ヘッダ38の上部には、当該分離ヘッダ38内で分離された遊離剤蒸気を排出するための上部出口が設けられている。この上部出口は、管路を介して凝縮器8(図1参照)に繋がっている。これにより、上部出口から排出された遊離剤蒸気は、管路を通じて凝縮器8へ導かれるようになっている。
熱媒体導入ヘッダ40(図2参照)は、各熱媒体流路56(図5参照)の導入口56aに熱媒体を分配して供給するためのものである。熱媒体導入ヘッダ40は、流路構造体32内の全ての熱媒体流路56の導入口56aを一括して覆うようにその導入口56aが形成された流路構造体32の側面に取り付けられている。熱媒体導入ヘッダ40には、熱媒体の供給配管が接続されている。この供給配管から熱媒体導入ヘッダ40に熱媒体が供給されるようになっている。
熱媒体排出ヘッダ42(図2参照)は、流路構造体32内での加熱に使用されて各熱媒体流路56(図5参照)の流出口56bから流出する使用後の熱媒体を受けるものである。熱媒体排出ヘッダ42は、流路構造体32内の全ての熱媒体流路56の流出口56bを一括して覆うようにその流出口56bが形成された流路構造体32の側面に取り付けられている。熱媒体排出ヘッダ42には、熱媒体の排出配管が接続されている。熱媒体排出ヘッダ42内に排出された使用後の熱媒体はその排出配管を通じて排出されるようになっている。
凝縮器8(図1参照)は、導入された遊離剤蒸気を冷却して凝縮させるものである。この凝縮器8における遊離剤の凝縮により、遊離剤蒸気に混ざっていた特定気体成分が分離する。凝縮器8の底部には、凝縮した液状の遊離剤を排出するための底部出口が設けられている。この底部出口は、管路を介して放出処理部4の遊離剤導入ヘッダ36に繋がっている。すなわち、凝縮器8は、管路及び遊離剤導入ヘッダ36を介して流路構造体32内の放出流路50に接続されている。これにより、凝縮器8から排出された液状の遊離剤は、遊離剤導入ヘッダ36へ送られるようになっている。また、凝縮器8の上部には、分離した特定気体成分を排出するための上部出口が設けられている。凝縮器8は、遊離剤を、管路及び遊離剤導入ヘッダ36を経て流路構造体32内の放出流路50へ供給する遊離剤供給部である。
次に、本実施形態による特定気体成分の放出処理方法について説明する。
本実施形態の放出処理方法は、前記した構成の放出処理装置3を有する吸収分離装置1を用意し、この用意した吸収分離装置1の放出処理装置3を用いて放出処理を行う。具体的には、本実施形態の放出処理方法は、吸収分離装置1の吸収塔2において特定気体成分を吸収した吸収液であるリッチ吸収液から特定気体成分を放出させる。特定気体成分は、例えばCO2であり、吸収液は、例えばアミン系水溶液である。
吸収塔2では、散布部14から散布された吸収液が充填層12中を通って降下しつつ、吸収塔2内の下部の領域に導入された処理ガスが充填層12中を通って上昇し、その過程で吸収液と処理ガスが互いに接触することにより処理ガスから吸収液へ特定気体成分が吸収される。吸収液に特定気体成分を吸収された後の処理ガスであるオフガスは、吸収塔2の頂部から排出される。特定気体成分を吸収した後の吸収液であるリッチ吸収液は、吸収塔2内の底部に溜まり、その底部から排出されて第1ポンプ9により熱交換器6へ送られる。吸収塔2から排出されて熱交換器6へ送られるリッチ吸収液の温度は、吸収塔2内での処理ガスから吸収液への特定気体成分の吸収反応によって生じる熱により70℃程度になっている。
熱交換器6では、リッチ吸収液と、後述するように放出処理部4の分離ヘッダ38から排出されるリーン吸収液との間での熱交換が行われる。リーン吸収液の温度は約120℃である。リッチ吸収液は、このリーン吸収液との間での熱交換により120℃近傍の温度まで加熱され、その後、放出処理部4へ送られる。一方、リーン吸収液は、熱交換によって冷却され、その後、吸収塔2の散布部14へ吸収処理に用いる吸収液として供給される。
放出処理部4では、以上のようにして送られてきたリッチ吸収液について特定気体成分を放出させる放出処理を行う。以下、この放出処理方法について説明する。
リッチ吸収液は、リッチ吸収液導入ヘッダ34(図2参照)に導入され、そのリッチ吸収液導入ヘッダ34から各放出流路50(図3参照)の第1受入流路部51に分配されて導入される。また、遊離剤導入ヘッダ36(図2参照)には、液状の遊離剤が供給される。遊離剤導入ヘッダ36に供給された液状の遊離剤は、その遊離剤導入ヘッダ36から各放出流路50の第2受入流路部52(図3参照)に分配されて導入される。
遊離剤は、後述するように蒸気の状態でリッチ吸収液と接触することによりそのリッチ吸収液から特定気体成分を遊離させて当該遊離剤の蒸気中へその特定気体成分を移動させる媒体として用いられるものである。具体的には、遊離剤は、吸収液(リッチ吸収液)よりも沸点が低く且つ吸収液に対して非相溶性の液体である。吸収液としてアミン系水溶液を用いる場合には、遊離剤として、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン又はトルエン等の有機溶剤が用いられる。
熱媒体導入ヘッダ40(図2参照)には、高温の熱媒体が供給される。この供給された熱媒体は、熱媒体導入ヘッダ40から各熱媒体流路56(図5参照)に分配されて導入される。
第1受入流路部51に導入されたリッチ吸収液と第2受入流路部52に導入された液状の遊離剤は、合流部53(図3参照)で合流し、互いに接触した状態で合流流体流路部54へ流れる。本実施形態では、リッチ吸収液と遊離剤は、合流流体流路部54をスラグ流の状態で流れる。合流流体流路部54のうちの上流側の気化流路部54b(図6参照)では、スラグ流中における液状の遊離剤が熱媒体流路56(図5参照)を流れる熱媒体から供給される熱により加熱されて気化し、遊離剤蒸気となる。これにより、互いに接触したリッチ吸収液のスラグと遊離剤蒸気のスラグからなるスラグ流が、気化流路部54bから下流側の遊離流路部54c(図6参照)へ流れる。リッチ吸収液と遊離剤蒸気とのスラグ流が遊離流路部54cを流れる過程において、リッチ吸収液のスラグから特定気体成分(CO2)が遊離し、その遊離した特定気体成分がリッチ吸収液のスラグと接触している遊離剤蒸気のスラグ中へ両スラグ間の接触界面を介して移動する遊離処理が行われる。
具体的に、遊離剤蒸気中の特定気体成分の分圧はリッチ吸収液中の特定気体成分の分圧よりも低いため、遊離剤蒸気のスラグとリッチ吸収液のスラグとが互いに接触した状態では、特定気体成分の分圧の高いリッチ吸収液から特定気体成分が遊離して特定気体成分の分圧の低い遊離剤蒸気中へ移動する。また、リッチ吸収液からの特定気体成分の遊離は、吸熱反応である。このため、熱媒体流路56を流れる熱媒体から遊離流路部54cを流れるリッチ吸収液に熱が供給されることによってリッチ吸収液からの特定気体成分の遊離が促進される。以上のような遊離処理によって、リッチ吸収液からの特定気体成分の放出が成される。
リッチ吸収液は、遊離処理によって、特定気体成分の濃度が低下したリーン吸収液となる。そして、このリーン吸収液と、特定気体成分を含有する遊離剤蒸気との混合流体が、各放出流路50の流出口54aから分離ヘッダ38の内部空間へ流れる。分離ヘッダ38(図2参照)の内部空間に流入した混合流体は、比重差により、特定気体成分を含有する遊離剤蒸気とリーン吸収液とに気液分離する。これにより、特定気体成分を含有する遊離剤蒸気が分離ヘッダ38の上部出口から排出され、リーン吸収液が分離ヘッダ38の下部出口から排出される。
分離ヘッダ38の下部出口から排出されたリーン吸収液は、第2ポンプ10により熱交換器6へ送られて上述のようにリッチ吸収液との熱交換に用いられた後、吸収塔2の散布部14へ供給される。
分離ヘッダ38の上部出口から排出された特定気体成分を含有する遊離剤蒸気は、凝縮器8へ導入される。そして、特定気体成分を含有する遊離剤蒸気は、凝縮器8において冷却されることによって、そのうちの遊離剤蒸気のみが凝縮して液状の遊離剤となる。この凝縮した液状の遊離剤は、凝縮器8から放出処理部4の遊離剤導入ヘッダ36へ流れ、その遊離剤導入ヘッダ36から各放出流路50の第2受入流路部52へ導入される。一方、凝縮器8において遊離剤蒸気が凝縮することにより特定気体成分のみが残り、その特定気体成分は、凝縮器8から排出されて回収される。
以上のようにして本実施形態によるリッチ吸収液からの特定気体成分の放出処理が行われる。
本実施形態では、放出流路50の遊離流路部54cが、リッチ吸収液とそのリッチ吸収液よりも沸点が低く且つそのリッチ吸収液に対して非相溶性の遊離剤の蒸気とを、特定気体成分がリッチ吸収液から遊離して遊離剤の蒸気へ移動するようにリッチ吸収液と遊離剤の蒸気が互いに接触した状態で流通させる。このため、吸収液の気化に必要な熱量よりも小さい熱量で気化させた遊離剤の蒸気をリッチ吸収液からの特定気体成分の遊離に用いることができる。このため、吸収液を気化させた蒸気を用いてリッチ吸収液から特定気体成分を遊離させる従来の構成に比べて、リッチ吸収液からの特定気体成分の放出処理に要するエネルギを低減できる。
また、本実施形態では、マイクロチャネルである放出流路50の遊離流路部54cが、リッチ吸収液と遊離剤の蒸気とを互いに接触させた状態で流通させるため、リッチ吸収液と遊離剤の蒸気の単位体積当たりの接触面積を増加させることができる。このため、リッチ吸収液から遊離剤の蒸気へのそれらの間の接触界面を介した特定気体成分の移動の効率を向上できる。その結果、リッチ吸収液からの特定気体成分の放出処理の効率を向上できる。
また、本実施形態では、流路構造体32内の熱媒体流路56から供給される熱により、流路構造体32内の放出流路50の気化流路部54bを流れる遊離剤を気化させてその遊離剤の蒸気を発生させることができる。このため、流路構造体の外部で遊離剤を加熱して遊離剤の蒸気を発生させる加熱装置を備えるような放出処理装置に比べて、放出処理装置3を小型化することができる。
また、本実施形態では、流路構造体32内の熱媒体流路56から供給される熱により、遊離流路部54cを流れるリッチ吸収液を加熱することができる。このため、遊離流路部54cを流れるリッチ吸収液を加熱してそのリッチ吸収液からのCO2の遊離を促進できる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、また、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
例えば、上記実施形態では、処理ガスから吸収液に特定気体成分を吸収させる吸収装置として吸収塔を用いたが、吸収塔以外の吸収装置を用いてもよい。
また、分離対象である特定気体成分は、必ずしもCO2に限定されず、他の気体成分であってもよい。その場合、吸収液として、その分離対象の気体成分を選択的に吸収可能な吸収液を用い、その吸収液よりも沸点が低く且つその吸収液と相溶しない遊離剤を吸収液からの気体成分の遊離処理に用いればよい。
また、流路構造体内において合流流体流路部を流れる流体へ熱を供給する熱供給部は、必ずしも上記のような熱媒体流路に限定されるものではない。例えば、気化流路部及び遊離流路部を流れる合流流体中の遊離剤と熱交換可能となるように流路構造体内の気化流路部及び遊離流路部に対応する領域に設けられて外部から供給された熱を保持する熱保持材を熱供給部として設けてもよい。また、気化流路部に熱を供給する熱供給部と、遊離流路部に熱を供給する熱供給部とが、それぞれ独立して設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、気化流路部及び遊離流路部において、遊離剤とリッチ吸収液とがスラグ流の形態で流れるように示したが、必ずしもこの形態で流れるものに限定されない。例えば、気化流路部及び遊離流路部において、遊離剤とリッチ吸収液が二層流の形態で流れるものであってもよい。この場合であっても、遊離剤の気化と遊離剤蒸気によるリッチ吸収液からの特定気体成分の遊離とを、上記実施形態と同様に実施することができる。
また、必ずしも放出処理装置の流路構造体内で液状の遊離剤を気化させなくてもよい。例えば、流路構造体の外部で遊離剤を気化させて遊離剤蒸気を生成し、その生成した遊離剤蒸気を流路構造体内の放出流路に供給してもよい。図7には、このような変形例による放出処理装置3が用いられた吸収分離装置1の一例が示されている。また、図8は、当該変形例において流路構造体32内の放出流路50で行われる遊離処理工程を説明するための模式図である。
この変形例による放出処理装置3の遊離剤供給部は、放出処理部4の外部に設けられ、遊離剤を気化させてその遊離剤の蒸気を生成する気化装置60を備える。気化装置60は、凝縮器8と放出処理部4の遊離剤導入ヘッダ36とを繋ぐ管路に設けられている。気化装置60は、凝縮器8から排出された凝縮遊離剤を加熱することによって気化させるものである。気化装置60によって気化されることにより生成された遊離剤蒸気が遊離剤導入ヘッダ36へ供給され、その遊離剤導入ヘッダ36から流路構造体32内の各放出流路50(図3参照)の第2受入流路部52へ遊離剤蒸気が分配されて導入されるようになっている。
各放出流路50の合流部53では、図8に示すように、第1受入流路部51から流入したリッチ吸収液に第2受入流路部52から流入した遊離剤蒸気が合流する。そして、その合流したリッチ吸収液と遊離剤蒸気は、合流部53から合流流体流路部54に流入し、その合流流体流路部54を流れながらリッチ吸収液から特定気体成分が遊離して遊離剤蒸気中へ移動する遊離処理が行われる。すなわち、この変形例では、合流流体流路部54全体が遊離処理工程を行う遊離流路部54cとなっている。換言すれば、遊離流路部54cが合流部53に直接繋がっている。
この変形例では、流路構造体32の外部の気化装置60で生成した遊離剤の蒸気を第2受入流路部52を通じて合流部53へ流入させてその合流部53に第1受入流路部51から流入したリッチ吸収液と合流させることができる。液状の遊離剤は、気化して蒸気になることによって体積が著しく増大するため、仮に放出流路に液状の遊離剤を導入してから気化させる場合には、リッチ吸収液に対する遊離剤の蒸気の混合比率の調節が難しくなる。これに対し、この変形例では、流路構造体32の外部で生成された遊離剤の蒸気を放出流路50内に導入するので、その導入する遊離剤の蒸気の量を流路構造体32の外部で調節することができ、リッチ吸収液に対する遊離剤の蒸気の混合比率を容易に調節できる。
[実施の形態及び変形例の概要]
前記実施形態及び前記変形例による放出処理装置は、特定気体成分を吸収した吸収液であるリッチ吸収液から前記特定気体成分を放出させるための放出処理装置であって、前記リッチ吸収液を供給するリッチ吸収液供給部から前記リッチ吸収液を受け入れるように前記リッチ吸収液供給部に接続されるとともに前記リッチ吸収液よりも沸点が低く且つ前記リッチ吸収液に対して非相溶性の遊離剤を供給する遊離剤供給部から前記遊離剤を受け入れるように前記遊離剤供給部に接続された放出流路を内部に有する流路構造体を備え、前記放出流路は、受け入れた前記リッチ吸収液が流動しながら前記特定気体成分を放出するように当該リッチ吸収液を導くマイクロチャネルであり、前記放出流路は、前記特定気体成分が前記リッチ吸収液から遊離して前記遊離剤の蒸気へ移動するように前記リッチ吸収液と前記遊離剤の蒸気とを互いに接触させた状態で導く処理流路部を有する。
この放出処理装置では、放出流路の処理流路部が、リッチ吸収液とそのリッチ吸収液よりも沸点が低く且つそのリッチ吸収液に対して非相溶性の遊離剤の蒸気とを、特定気体成分がリッチ吸収液から遊離して遊離剤の蒸気へ移動するようにリッチ吸収液と遊離剤の蒸気が互いに接触した状態で流通させる。このため、吸収液の気化に必要な熱量よりも小さい熱量で気化させた遊離剤の蒸気をリッチ吸収液からの特定気体成分の遊離に用いることができる。このため、吸収液を気化させた蒸気を用いてリッチ吸収液から特定気体成分を遊離させる従来の構成に比べて、リッチ吸収液からの特定気体成分の放出処理に要するエネルギを低減できる。また、この放出処理装置では、マイクロチャネルである放出流路の処理流路部が、リッチ吸収液と遊離剤の蒸気とを互いに接触させた状態で流通させる。このため、リッチ吸収液と遊離剤の蒸気の単位体積当たりの接触面積を増加させることができる。このため、リッチ吸収液から遊離剤の蒸気へのそれらの間の接触界面を介した特定気体成分の移動の効率を向上できる。その結果、リッチ吸収液からの特定気体成分の放出処理の効率を向上できる。
前記放出処理装置において、前記流路構造体は、前記放出流路へ熱を供給する熱供給部を内部に有し、前記放出流路は、前記リッチ吸収液供給部から前記リッチ吸収液を受け入れる第1受入流路部と、前記遊離剤供給部から液状の前記遊離剤を受け入れる第2受入流路部と、前記第1受入流路部から前記リッチ吸収液を受け入れるとともに前記第2受入流路部から液状の前記遊離剤を受け入れてそれらのリッチ吸収液と液状の遊離剤とを合流させるように前記第1受入流路部の下流側の端部及び前記第2受入流路部の下流側の端部に繋がる合流部と、前記合流部で合流した前記リッチ吸収液と前記遊離剤との合流流体をその合流部から受け入れるように当該合流部の下流側に繋がるとともに、前記処理流路部の上流側の端部に繋がり、受け入れた前記合流流体中の前記遊離剤が気化して当該遊離剤の蒸気を発生するような熱を前記熱供給部から受け、その発生した遊離剤の蒸気と前記リッチ吸収液とを前記処理流路部へ導く気化流路部と、を有していてもよい。
この構成によれば、流路構造体内の熱供給部から供給される熱により、流路構造体内の放出流路の気化流路部を流れる遊離剤を気化させてその遊離剤の蒸気を発生させることができる。このため、流路構造体の外部で遊離剤を加熱して遊離剤の蒸気を発生させる加熱装置を備える放出処理装置に比べて、放出処理装置を小型化することができる。
前記放出処理装置において、前記遊離剤供給部は、前記流路構造体の外部に設けられ、液状の前記遊離剤を気化させてその遊離剤の蒸気を生成する気化装置を備え、前記放出流路は、前記リッチ吸収液供給部から前記リッチ吸収液を受け入れる第1受入流路部と、前記気化装置によって生成された前記遊離剤の蒸気を受け入れるように前記気化装置に繋がる第2受入流路部と、前記第1受入流路部から前記リッチ吸収液を受け入れるとともに前記第2受入流路部から前記遊離剤の蒸気を受け入れてそれらのリッチ吸収液と遊離剤の蒸気とを合流させるように前記第1受入流路部の下流側の端部及び前記第2受入流路部の下流側の端部に繋がるとともに、前記処理流路部の上流側の端部に繋がり、前記リッチ吸収液と前記遊離剤の蒸気との合流流体を前記処理流路部へ導く合流部と、を有していてもよい。
この構成によれば、流路構造体の外部の気化装置で生成した遊離剤の蒸気を第2受入流路部を通じて合流部へ流入させてその合流部に第1受入流路部から流入したリッチ吸収液と合流させることができる。液状の遊離剤は、気化して蒸気になることによって体積が著しく増大するため、仮に放出流路に液状の遊離剤を導入してから気化させる場合には、リッチ吸収液に対する遊離剤の蒸気の混合比率の調節が難しくなる。これに対し、本構成では、流路構造体の外部で生成された遊離剤の蒸気を放出流路内に導入するので、その導入する遊離剤の蒸気の量を流路構造体の外部で調節することができる。このため、リッチ吸収液に対する遊離剤の蒸気の混合比率を容易に調節できる。
前記流路構造体を備える構成において、前記流路構造体は、前記処理流路部を流れる前記リッチ吸収液を加熱するための熱を前記処理流路部へ供給する処理流路用熱供給部を内部に有することが好ましい。
この構成によれば、処理流路部を流れるリッチ吸収液を加熱してそのリッチ吸収液からのCO2の遊離を促進できる。
また、前記実施形態及び前記変形例による放出処理方法は、特定気体成分を吸収した吸収液であるリッチ吸収液から前記特定気体成分を放出させるための放出処理方法であって、前記リッチ吸収液が前記特定気体成分を放出しながら流動するように当該リッチ吸収液を導くマイクロチャネルであって、前記リッチ吸収液と前記リッチ吸収液よりも沸点が低く且つ前記リッチ吸収液に対して非相溶性の遊離剤の蒸気とを互いに接触した状態で流通させることが可能な処理流路部を備えた放出流路を内部に有する流路構造体を用意する用意工程と、前記処理流路部に前記リッチ吸収液と前記遊離剤の蒸気とを互いに接触した状態で流通させることにより前記リッチ吸収液から前記特定気体成分を遊離させてその特定気体成分を前記遊離剤の蒸気へ移動させる遊離処理工程と、を備える。
この放出処理方法では、上記放出処理装置の場合と同様の理由により、リッチ吸収液からの特定気体成分の放出処理に要するエネルギを低減できるとともに、リッチ吸収液からの特定気体成分の放出処理の効率を向上できる。
前記放出処理方法において、前記用意工程では、前記流路構造体として、前記放出流路が、前記処理流路部に加えて、第1受入流路部と、第2受入流路部と、前記第1受入流路部及び前記第2受入流路部に繋がる合流部と、前記合流部に繋がるとともに前記処理流路部に繋がる気化流路部とを備えているとともに、前記放出流路へ熱を供給可能な熱供給部が内部に設けられた流路構造体を用意し、前記放出処理方法は、前記第1受入流路部に前記リッチ吸収液を導入するとともに前記第2受入流路部に液状の前記遊離剤を導入する導入工程と、前記合流部において前記第1受入流路部から流入した前記リッチ吸収液と前記第2受入流路部から流入した液状の前記遊離剤とを合流させる合流工程と、前記合流部で合流した前記リッチ吸収液と液状の前記遊離剤との合流流体を前記気化流路部に流通させながらその合流流体中の前記遊離剤を前記熱供給部から供給される熱によって気化させて前記遊離剤の蒸気を発生させ、その発生した遊離剤の蒸気と前記リッチ吸収液とを前記処理流路部へ導く気化処理工程と、をさらに備えていてもよい。
この構成によれば、放出流路と熱供給部とを内部に有する流路構造体を備えた上記放出処理装置の場合と同様の理由により、放出処理装置を小型化することができる。
前記放出処理方法において、前記用意工程では、前記流路構造体として、前記放出流路が、前記処理流路部に加えて、第1受入流路部と、第2受入流路部と、前記第1受入流路部及び前記第2受入流路部に繋がるとともに前記処理流路部に繋がる合流部とを備えている流路構造体を用意し、前記放出処理方法は、前記流路構造体の外部で液状の前記遊離剤を気化させることにより遊離剤の蒸気を生成する蒸気生成工程と、前記第1受入流路部に前記リッチ吸収液を導入するとともに前記第2受入流路部に前記蒸気生成工程で生成された前記遊離剤の蒸気を導入する導入工程と、前記合流部において前記第1受入流路部から流入した前記リッチ吸収液と前記第2受入流路部から流入した前記遊離剤の蒸気とを合流させて前記処理流路部へ導く合流工程と、をさらに備えていてもよい。
この構成によれば、流路構造体の外部に設けられた気化装置を備える上記放出処理装置の場合と同様の理由により、リッチ吸収液に対する遊離剤の蒸気の混合比率を容易に調節できる。
前記放出処理方法において、前記用意工程では、前記流路構造体として、前記処理流路部へ熱を供給する処理流路用熱供給部を内部に有する流路構造体を用意し、前記遊離処理工程では、前記処理流路用熱供給部から供給される熱により前記リッチ吸収液を加熱しながらそのリッチ吸収液を前記処理流路部に流通させることが好ましい。
この構成によれば、処理流路部を流れるリッチ吸収液を加熱してそのリッチ吸収液からのCO2の遊離を促進できる。
以上説明したように、前記実施形態及び前記変形例によれば、特定気体成分を吸収した吸収液からその特定気体成分を放出させる処理に要するエネルギを低減できるとともに、特定気体成分の放出処理の効率を向上できる。
A release device for releasing a specific gas matter from a rich absorption liquid, which is an absorption liquid containing the specific gas matter absorbed therein, the device comprising a channel structure having release channels inside which have been connected to a rich-absorption-liquid supply part, which is for supplying the rich absorption liquid, so that the release channels receive the rich absorption liquid from the rich-absorption-liquid supply part and which have been connected to a liberating-agent supply part, which is for supplying a liberating agent that has a lower boiling point than the rich absorption liquid and is incompatible with the rich absorption liquid, so that the release channels receive the liberating agent from the liberating-agent supply part. The release channels are microchannels which each guide the rich absorption liquid so that the specific gas matter are released as the received rich absorption liquid flows. The release channels each have a treatment channel part where the rich absorption liquid and the vapor of the liberating agent are guided in the state of being in contact with each other, so that the specific gas matter is liberated from the rich absorption liquid and transferred to the vapor of the liberating agent.
特定気体成分を吸収した吸収液であるリッチ吸収液から前記特定気体成分を放出させるための放出処理装置であって、
請求項1に記載の放出処理装置において、
請求項1に記載の放出処理装置において、
請求項1に記載の放出処理装置において、
特定気体成分を吸収した吸収液であるリッチ吸収液から前記特定気体成分を放出させるための放出処理方法であって、
請求項5に記載の放出処理方法において、
請求項5に記載の放出処理方法において、
請求項5に記載の放出処理方法において、
前記実施形態及び前記変形例をまとめると、以下の通りである。
前記リッチ吸収液を供給するリッチ吸収液供給部から前記リッチ吸収液を受け入れるように前記リッチ吸収液供給部に接続されるとともに前記リッチ吸収液よりも沸点が低く且つ前記リッチ吸収液に対して非相溶性の遊離剤を供給する遊離剤供給部から前記遊離剤を受け入れるように前記遊離剤供給部に接続された放出流路を内部に有する流路構造体を備え、
前記放出流路は、受け入れた前記リッチ吸収液が流動しながら前記特定気体成分を放出するように当該リッチ吸収液を導くマイクロチャネルであり、
前記放出流路は、前記特定気体成分が前記リッチ吸収液から遊離して前記遊離剤の蒸気へ移動するように前記リッチ吸収液と前記遊離剤の蒸気とを互いに接触させた状態で導く処理流路部を有する、放出処理装置。
前記流路構造体は、前記放出流路へ熱を供給する熱供給部を内部に有し、
前記放出流路は、前記リッチ吸収液供給部から前記リッチ吸収液を受け入れる第1受入流路部と、前記遊離剤供給部から液状の前記遊離剤を受け入れる第2受入流路部と、前記第1受入流路部から前記リッチ吸収液を受け入れるとともに前記第2受入流路部から液状の前記遊離剤を受け入れてそれらのリッチ吸収液と液状の遊離剤とを合流させるように前記第1受入流路部の下流側の端部及び前記第2受入流路部の下流側の端部に繋がる合流部と、前記合流部で合流した前記リッチ吸収液と前記遊離剤との合流流体をその合流部から受け入れるように当該合流部の下流側に繋がるとともに、前記処理流路部の上流側の端部に繋がり、受け入れた前記合流流体中の前記遊離剤が気化して当該遊離剤の蒸気を発生するような熱を前記熱供給部から受け、その発生した遊離剤の蒸気と前記リッチ吸収液とを前記処理流路部へ導く気化流路部と、を有する、放出処理装置。
前記遊離剤供給部は、前記流路構造体の外部に設けられ、液状の前記遊離剤を気化させてその遊離剤の蒸気を生成する気化装置を備え、
前記放出流路は、前記リッチ吸収液供給部から前記リッチ吸収液を受け入れる第1受入流路部と、前記気化装置によって生成された前記遊離剤の蒸気を受け入れるように前記気化装置に繋がる第2受入流路部と、前記第1受入流路部から前記リッチ吸収液を受け入れるとともに前記第2受入流路部から前記遊離剤の蒸気を受け入れてそれらのリッチ吸収液と遊離剤の蒸気とを合流させるように前記第1受入流路部の下流側の端部及び前記第2受入流路部の下流側の端部に繋がるとともに、前記処理流路部の上流側の端部に繋がり、前記リッチ吸収液と前記遊離剤の蒸気との合流流体を前記処理流路部へ導く合流部と、を有する、放出処理装置。
前記流路構造体は、前記処理流路部を流れる前記リッチ吸収液を加熱するための熱を前記処理流路部へ供給する処理流路用熱供給部を内部に有する、放出処理装置。
前記リッチ吸収液が前記特定気体成分を放出しながら流動するように当該リッチ吸収液を導くマイクロチャネルであって、前記リッチ吸収液と前記リッチ吸収液よりも沸点が低く且つ前記リッチ吸収液に対して非相溶性の遊離剤の蒸気とを互いに接触した状態で流通させることが可能な処理流路部を備えた放出流路を内部に有する流路構造体を用意する用意工程と、
前記処理流路部に前記リッチ吸収液と前記遊離剤の蒸気とを互いに接触した状態で流通させることにより前記リッチ吸収液から前記特定気体成分を遊離させてその特定気体成分を前記遊離剤の蒸気へ移動させる遊離処理工程と、を備える、放出処理方法。
前記用意工程では、前記流路構造体として、前記放出流路が、前記処理流路部に加えて、第1受入流路部と、第2受入流路部と、前記第1受入流路部及び前記第2受入流路部に繋がる合流部と、前記合流部に繋がるとともに前記処理流路部に繋がる気化流路部とを備えているとともに、前記放出流路へ熱を供給可能な熱供給部が内部に設けられた流路構造体を用意し、
前記放出処理方法は、前記第1受入流路部に前記リッチ吸収液を導入するとともに前記第2受入流路部に液状の前記遊離剤を導入する導入工程と、前記合流部において前記第1受入流路部から流入した前記リッチ吸収液と前記第2受入流路部から流入した液状の前記遊離剤とを合流させる合流工程と、前記合流部で合流した前記リッチ吸収液と液状の前記遊離剤との合流流体を前記気化流路部に流通させながらその合流流体中の前記遊離剤を前記熱供給部から供給される熱によって気化させて前記遊離剤の蒸気を発生させ、その発生した遊離剤の蒸気と前記リッチ吸収液とを前記処理流路部へ導く気化処理工程と、をさらに備える、放出処理方法。
前記用意工程では、前記流路構造体として、前記放出流路が、前記処理流路部に加えて、第1受入流路部と、第2受入流路部と、前記第1受入流路部及び前記第2受入流路部に繋がるとともに前記処理流路部に繋がる合流部とを備えている流路構造体を用意し、
前記放出処理方法は、前記流路構造体の外部で液状の前記遊離剤を気化させることにより遊離剤の蒸気を生成する蒸気生成工程と、前記第1受入流路部に前記リッチ吸収液を導入するとともに前記第2受入流路部に前記蒸気生成工程で生成された前記遊離剤の蒸気を導入する導入工程と、前記合流部において前記第1受入流路部から流入した前記リッチ吸収液と前記第2受入流路部から流入した前記遊離剤の蒸気とを合流させて前記処理流路部へ導く合流工程と、をさらに備える、放出処理方法。
前記用意工程では、前記流路構造体として、前記処理流路部へ熱を供給する処理流路用熱供給部を内部に有する流路構造体を用意し、
前記遊離処理工程では、前記処理流路用熱供給部から供給される熱により前記リッチ吸収液を加熱しながらそのリッチ吸収液を前記処理流路部に流通させる、放出処理方法。







