DISPLAY DEVICE AND METHOD FOR MANUFACTURING DISPLAY DEVICE
本開示は、表示装置およびその製造方法に関する。
近年、液晶表示装置に代わる表示装置として、有機EL(Electro Luminescence)素子を用いた自発光型の有機EL表示装置が注目されている。
有機EL表示装置では、画像表示を行う表示領域の周囲に額縁領域が設けられており、その額縁領域に、表示領域から引き出されたソース配線やゲート配線、電源配線といった複数の表示用配線のそれぞれに信号を入力する端子部が設けられている。端子部には、個々の表示用配線の引き出し端部が位置しており、それら引き出し端部によって構成された多数の端子が配列されている。この端子部には、外部回路と接続するための配線基板などの実装部品が実装される。
表示用配線には、当該表示用配線と接触される層との間で特性変化を起こすことを防止すると共に低抵抗化を図る観点から、電気抵抗の比較的低い金属材料からなる第2導電層を耐腐食性および安定性に優れた金属材料からなる第1導電層および第3導電層で挟み込むように積層された積層構造が好適に採用される。例えば、第1導電層および第3導電層はチタン層とされ、第2導電層はアルミニウム層とされる。
また、表示用配線は、表示領域に限らず額縁領域においても有機平坦化膜によって覆われる。表示用配線の端子と配線基板との導通は、その有機平坦化膜に形成された開口を通じてとられる。有機平坦化膜は、表示用配線を構成するアルミニウム層の腐食などを防止するために、端子部においても各端子の周縁部分を覆って端子の周端面を保護している(例えば、特許文献1参照)。
有機EL表示装置では、上述したように表示用配線の端子の周縁部分が有機平坦化膜によって覆われているため、配線基板を実装するときに比較的分厚い有機平坦化膜が邪魔になって表示用配線の端子と配線基板との導通をとり難く、実装工程が困難であるという問題がある。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第1導電層、第2導電層および第3導電層が積層された構造を有する配線において第2導電層を保護しつつ、実装部品と当該配線との導通をとる実装工程を容易に行えるようにすることにある。
本開示の技術に係る表示装置は、ベース基板と、前記ベース基板上に設けられた配線と、前記配線を覆うように設けられた平坦化膜と、前記平坦化膜上に設けられた発光素子と、を備え、前記配線が、前記ベース基板側から第1導電層、第2導電層および第3導電層が順に積層された構造を有する表示装置であって、前記配線は、前記第2導電層が前記第1導電層および前記第3導電層よりも狭い幅で形成されていることにより、周端面のうち前記第2導電層に対応する部分が当該配線の内方に凹んだ凹部を有し、且つ、周端面を含めて前記平坦化膜から露出しており、前記配線のうち前記平坦化膜から露出した部分における前記凹部には、前記第2導電層の周端面を覆う樹脂カバーが設けられ、前記樹脂カバーの厚さは、前記配線の厚さよりも小さいことを特徴とする。ここで、「樹脂カバーの厚さ」および「配線の厚さ」とは、前記配線を構成する第1導電層、第2導電層および第3導電層の積層方向における厚さを意味する。
また、本開示の技術に係る表示装置の製造方法は、ベース基板上に、第1導電層、第2導電層および第3導電層が順に積層された積層構造を有し、且つ周端面のうち前記第2導電層に対応する部分に当該配線の内方に凹んだ凹部が設けられた配線を形成する配線形成工程と、前記配線のうち前記第2導電層の周端面を覆う樹脂カバーを形成する樹脂カバー形成工程と、を含み、前記樹脂カバー形成工程は、前記配線を覆う樹脂膜を蒸着法によって成膜する成膜工程と、該成膜工程で成膜された樹脂膜をアッシングすることにより前記樹脂カバーを前記配線よりも厚さが小さくなるように形成するアッシング工程と、を含むことを特徴とする。
本開示の技術に係る表示装置によれば、配線を、第1導電層、第2導電層および第3導電層が順に積層され、第2導電層に対応する部分が当該配線の内方に凹んだ凹部を有する積層構造とし、その凹部に、第2導電層の周端面を覆う樹脂カバーを配線よりも薄く設けるようにしたから、配線において樹脂カバーにより第2導電層を保護しつつ、実装部品と当該配線との導通をとる実装工程を容易に行えるようにすることができる。
また、本開示の技術に係る表示装置の製造方法によれば、配線を覆う有機樹脂膜を成膜した後にその有機樹脂膜をアッシングすることにより、配線の周端面に設けられた凹部内で第2導電層の端面を覆う樹脂カバーを配線よりも厚さが小さくなるように形成することとしたから、配線において樹脂カバーにより第2導電層を保護しつつ、実装部品と当該配線との導通をとる実装工程を容易に行える構成を実現することができる。そして、有機樹脂膜に当該凹部内で空隙が生じるのを防いで、樹脂カバーにおける第2導電層を保護する役割の信頼性を向上させることができる。
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《第1の実施形態》
〈有機EL表示装置の構成〉
有機EL表示装置1は、図1に示すように、矩形状に設けられた画像表示を行う表示領域2と、表示領域2の周囲に設けられた矩形枠状の額縁領域3とを備えている。そして、額縁領域3の1辺を構成する部分には、外部回路と接続するための端子部4が設けられている。この端子部4には、図示しないが、FPC(Flexible Printed Circuit)の一端部が接続される。FPCは、有機EL表示装置1に実装される実装部品の一例である。
さらに、額縁領域3において、端子部4が設けられた辺と隣り合う辺(図1で左右両側の2辺)を構成する部分には、ゲートドライバ回路GDMが基板(後述する樹脂基板層7)上にモノリシックに設けられている。また、額縁領域3における表示領域2と端子部4との間には、複数の額縁配線15fが設けられている。個々の額縁配線15fは、端子部4にてFPCと接続される配線端子15tを構成している。端子部4には、これら複数の配線端子15tが所定のパターンで配列されている。
有機EL表示装置1は、アクティブマトリクス駆動方式を採用している。表示領域2には、図2に示す画素5がマトリクス状に複数配置されている。各画素5は、例えば、赤色の階調表示を行うサブ画素6r、緑色の階調表示を行うサブ画素6gおよび青色の階調表示を行うサブ画素6bからなる3色のサブ画素6を含んで構成されている。これら3色のサブ画素6r,6g,6bは、例えば並置方式で配列されてストライプ状に隣り合っている。
有機EL表示装置1は、図4に示すように、ベース基板としての樹脂基板層7と、樹脂基板層7上に設けられたTFT(Thin Film Transistor)層8と、TFT層8上に設けられた発光素子としての複数の有機EL素子9と、これら複数の有機EL素子9を覆う封止膜10とを備えている。
樹脂基板層7は、樹脂製の基板の一例であり、例えばポリイミド樹脂などによって形成されており、可撓性を有している。
TFT層8は、樹脂基板層7上に設けられたベースコート膜11と、ベースコート膜11上に設けられた複数の第1TFT12、複数の第2TFT13および複数のキャパシタ14ならびに各種の表示用配線15と、これら複数の第1TFT12、複数の第2TFT13、複数のキャパシタ14および表示用配線15を覆うように設けられた平坦化膜16とを備えている。
ベースコート膜11は、例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコンなどからなる無機絶縁膜の単層膜または積層膜により構成されている。第1TFT12、第2TFT13およびキャパシタ14は、各サブ画素6に設けられている。
表示用配線15としては、図2および図3に示すように、ゲート信号を伝達する複数の複数のゲート配線15gと、ソース信号を伝達する複数のソース配線15sと、有機EL素子9に電流を供給するための複数の電源配線15pとが設けられている。複数のゲート配線15gは、互いに平行に延びている。複数のソース配線15sは、ゲート配線15gと交差する方向に互いに平行に延びている。複数の高圧電源配線15pは、ソース配線15sに沿って互いに平行に延びている。これらゲート配線15g、ソース配線15sおよび高圧電源配線15pは、互いに絶縁されており、全体として格子状に形成されて各サブ画素6を区画している。
各ソース配線15sおよび各電源配線15pは、額縁配線15fとして表示領域2から端子部4にまで引き出されている。各ゲート配線15gは、ゲートドライバ回路GDMに接続されている。ゲートドライバ回路GDMは、額縁配線15fと接続されており、その額縁配線15fを介して駆動信号を受け取ることによりゲート配線15gを順次駆動するようになっている。
第1TFT12および第2TFT13は、アクティブ素子の一例であり、例えばトップゲート型の構造を採用している。具体的には、第1TFT12および第2TFT13は、図4に示すように、ベースコート膜11上に島状に設けられた半導体層17と、半導体層17を覆うゲート絶縁膜18と、ゲート絶縁膜18を介して半導体層17の一部(チャネル領域)と重なるゲート電極19と、ゲート電極19を覆う層間絶縁膜20と、層間絶縁膜20上に設けられたソース電極21およびドレイン電極22とを備えている。
ゲート電極19は、ゲート配線15gと同一層に同一材料によって一体に形成されている。すなわち、ゲート配線15gは、ゲート絶縁膜18上に設けられている。層間絶縁膜20は、樹脂基板層7上において平坦化膜16よりも下層に設けられ、第1層間絶縁膜23と第2層間絶縁膜24との積層膜によって構成されている。これら第1層間絶縁膜23および第2層間絶縁膜24とゲート絶縁膜18とは、例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコンなどの無機絶縁膜によってそれぞれ構成されている。
ソース電極21とドレイン電極22とは、互いに離間しており、ゲート絶縁膜18および層間絶縁膜20に形成されたコンタクトホール25を介して半導体層17の異なる部分(ソース領域、ドレイン領域)にそれぞれ接続されている。これらソース電極21およびドレイン電極22は、表示領域2において、ソース配線15sと同一層に同一材料によって一体に形成されている。また、電源配線15pも、表示領域2において、ソース配線15sと同一層に同一材料によって一体に形成されている。
すなわち、ソース配線15sおよび電源配線15pは、表示領域2において、層間絶縁膜20の上層に位置しており、平坦化膜16によって覆われている。表示領域2におけるソース配線15s、電源配線15p、ソース電極21およびドレイン電極22は、図示しないが、額縁配線15fを構成する後述の配線上層部15Bと同じ積層構造(Ti層/Al層/Ti層)を有している。
第1TFT12のゲート電極19は、対応するサブ画素6を区画するゲート配線15gに接続されている。第1TFT12のソース電極21は、対応するサブ画素6を区画するソース配線15sに接続されている。第1TFT12のドレイン電極22は、第2TFT13のゲート電極19と接続されている。第2TFT13のソース電極21は、対応するサブ画素6を区画する電源配線15pに接続されている。
キャパシタ14は、対応するサブ画素6の第1TFT12および対応するサブ画素6を区画する電源配線15pに接続されている。このキャパシタ14は、ゲート絶縁膜18上に設けられた下部導電層26と、下部導電層26を覆う第1層間絶縁膜23と、第1層間絶縁膜23を介して下部導電層26に重なる上部導電層27とを備えている。下部導電層26は、ゲート電極19と同一層に同一材料によって形成されている。上部導電層27は、第2層間絶縁膜24に形成されたコンタクトホール28を介して電源配線15pに接続されている。
平坦化膜16は、表示領域2において、第2TFT13のドレイン電極22の一部以外を覆うことにより、TFT層8の表面を、ソース配線15s、電源配線15p、第1TFT12および第2TFT12の表面形状が反映されないように平坦化している。この平坦化膜16は、例えば、アクリル樹脂などの無色透明な有機樹脂材料によって形成されている。
有機EL素子9は、平坦化膜16上において各サブ画素6に設けられている。この有機EL素子9は、トップエミッション型の構造を採用している。具体的には、有機EL素子9は、平坦化膜16の表面に設けられた第1電極29と、第1電極29上に設けられた機能層としての有機EL層30と、有機EL層30を介して第1電極29に重なる第2電極31とを備えている。
第1電極29は、有機EL素子9毎に設けられてマトリクス状に配置されており、対応するサブ画素6における第2TFT13のドレイン電極22に、平坦化膜16に形成されたコンタクトホール32を介して接続されている。この第1電極29は、有機EL層30に正孔(ホール)を注入する機能を有しており、有機EL層30への正孔注入効率を向上させるために仕事関数の大きな材料で形成されていることが好ましい。
第1電極29の材料としては、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、金(Au)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、イットリウム(Y)、ナトリウム(Na)、ルテニウム(Ru)、マンガン(Mn)、インジウム(In)、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、イッテルビウム(Yb)、フッ化リチウム(LiF)などの金属材料が挙げられる。
また、第1電極29の材料は、例えば、マグネシウム(Mg)と銅(Cu)、マグネシウム(Mg)と銀(Ag)、ナトリウム(Na)とカリウム(K)、アスタチン(At)と酸化アスタチン(AtO2)、リチウム(Li)とアルミニウム(Al)、リチウム(Li)とカルシウム(Ca)とアルミニウム(Al)、フッ化リチウム(LiF)とカルシウム(Ca)とアルミニウム(Al)などの合金であってもよい。
また、第1電極29の材料は、例えば、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような導電性酸化物などであってもよい。また、第1電極29は、上述した材料からなる層を複数積層して形成されていても構わない。なお、仕事関数の大きな材料としては、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)が挙げられる。
隣り合うサブ画素6の第1電極29同士は、エッジカバー33によって区画されている。エッジカバー33は、格子状に形成されており、各第1電極29の周縁部を覆っている。エッジカバー33の材料としては、例えば、酸化シリコンや窒化シリコン、シリコンオキシナイトライドなどの無機化合物、およびポリイミド樹脂やアクリル樹脂、ポリシロキサン樹脂、ノボラック樹脂などの有機樹脂材料が挙げられる。
有機EL層30は、有機EL素子9毎に設けられている。この有機EL層30は、図5に示す正孔注入層34、正孔輸送層35、発光層36、電子輸送層37および電子注入層38が第1電極29上にこの順で積層された構造を有する。
正孔注入層34は、陽極バッファ層とも呼ばれ、第1電極29と有機EL層30とのエネルギーレベルを近づけて、第1電極29から有機EL層30へ正孔が注入される効率を改善する機能を有している。正孔注入層34の材料としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体などが挙げられる。
正孔輸送層35は、第1電極29から有機EL層30への正孔の輸送効率を向上させる機能を有している。正孔輸送層35の材料としては、例えば、ポルフェリン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリ-p-フェニレンビニレン、ポリシラン、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミン置換アルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、水酸化アモルファスシリコン、水酸化アモルファス炭化シリコン、硫化亜鉛、セレン化亜鉛などが挙げられる。
発光層36は、第1電極29および第2電極31によって電圧が印加された際に、第1電極29から注入された正孔と第2電極31から注入された電子とを再結合させて発光する機能を有する。発光層36は、個々のサブ画素6において、有機EL素子9の発光色(例えば赤色、緑色または青色)に合わせて異なる材料により形成されている。
発光層36の材料としては、例えば、金属オキシノイド化合物[8-ヒドロキシキノリン金属錯体]、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ジフェニルエチレン誘導体、ビニルアセトン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ブタジエン誘導体、クマリン誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、スチリル誘導体、スチリルアミン誘導体、ビススチリルベンゼン誘導体、トリススチリルベンゼン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、アミノピレン誘導体、ピリジン誘導体、ローダミン誘導体、アクイジン誘導体、フェノキサゾン、キナクリドン誘導体、ルブレン、ポリ-p-フェニレンビニレン、ポリシランなどが挙げられる。
電子輸送層37は、電子を発光層36まで効率良く移動させる機能を有している。電子輸送層37の材料としては、例えば、有機化合物として、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体、シロール誘導体、金属オキシノイド化合物などが挙げられる。
電子注入層38は、陰極バッファ層とも呼ばれ、第2電極31と有機EL層30とのエネルギーレベルを近づけて、第2電極31から有機EL層30への電子注入効率を向上させる機能を有する。電子注入層38の材料としては、例えば、フッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化ストロンチウム(SrF2)、フッ化バリウム(BaF2)のような無機アルカリ化合物、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ストロンチウム(SrO)などが挙げられる。
第2電極31は、複数の有機EL素子9に対して共通に(つまり複数のサブ画素6に共通して)設けられており、有機EL層30を覆っている。この第2電極31は、図示しないが、額縁配線15fに接続され、その額縁配線15fを通じて端子部4に設けられた配線端子15tにて外部回路との導通がとられる。第2電極31は、有機EL層30に電子を注入する機能を有しており、有機EL層30への電子の注入効率を向上させるために仕事関数の小さな材料で形成されていることが好ましい。
第2電極31の材料としては、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、金(Au)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、イットリウム(Y)、ナトリウム(Na)、ルテニウム(Ru)、マンガン(Mn)、インジウム(In)、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、イッテルビウム(Yb)、フッ化リチウム(LiF)などが挙げられる。
また、第2電極31の材料は、例えば、マグネシウム(Mg)と銅(Cu)の合金、マグネシウム(Mg)と銀(Ag)の合金、ナトリウム(Na)とカリウム(K)の合金、アスタチン(At)と酸化アスタチン(AtO2)の合金、リチウム(Li)とアルミニウム(Al)の合金、リチウム(Li)とカルシウム(Ca)とアルミニウム(Al)の合金、フッ化リチウム(LiF)とカルシウム(Ca)とアルミニウム(Al)の合金などであってもよい。
また、第2電極31の材料は、例えば、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの導電性酸化物であってもよい。また、第2電極31は、上記材料からなる層を複数積層して形成されていてもよい。なお、仕事関数が小さい材料としては、例えば、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、フッ化リチウム(LiF)、マグネシウム(Mg)と銅(Cu)の合金、マグネシウム(Mg)と銀(Ag)の合金、ナトリウム(Na)と銅(Cu)の合金、マグネシウム(Mg)と銀(Ag)の合金、ナトリウム(Na)とカリウム(K)の合金、リチウム(Li)とアルミニウム(Al)の合金、リチウム(Li)とカルシウム(Ca)とアルミニウム(Al)の合金、フッ化リチウム(LiF)とカルシウム(Ca)とアルミニウム(Al)の合金などが挙げられる。
封止膜10は、有機EL素子9を水分や酸素などから保護する機能を有している。この封止膜10は、図4および図6に示すように、第2電極31を覆う第1無機層39と、第1無機層39上に設けられた有機層40と、有機層42を覆う第2無機層41とを備えている。
第1無機層39および第2無機層41は、例えば、酸化シリコン(SiO2)や酸化アルミニウム(Al2O3)、炭窒化ケイ素(Si3N4)などの無機材料によって形成されている。有機層40は、例えば、アクリレート、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリ尿素、パリレン、ポリイミド、ポリアミドなどの有機樹脂材料によって形成されている。
これら第1無機層39、有機層40および第2無機層41は、表示領域2の全体に設けられていると共に、額縁領域3にも設けられている。第1無機層39、有機層40および第2無機層41の各周端縁は、いずれも額縁領域3に位置付けられている。有機層40の周端縁は、図6に示すように、額縁領域3において、第1無機層39および第2無機層41の周端縁よりも表示領域2側に位置付けられている。
また、額縁領域3には、有機EL表示装置1の製造過程において、有機層40となる有機樹脂材料の広がりを堰き止めるために、複数の堰止壁42が表示領域2を囲む枠状に設けられている。
これら各堰止壁42は、第1壁層43と第2壁層44とが積層された構造を有しているか、または第2壁層44のみによって構成されている。第1壁層43は、平坦化膜16と同一層に同一材料によって形成されている。第2壁層44は、エッジカバー33と同一層に同一材料によって形成されている。図6に示す例では、最も外周の堰止壁42は、第1壁層43と第2壁層44とが積層された構造を有している。その堰止壁42と平坦化膜16との間、つまり平坦化膜16の外周には、平坦化膜16と同一膜によって形成された層から層間絶縁膜20を露出させるスリット16sが形成されている。
第1無機層39および第2無機層41は、全ての堰止壁42を覆っている。これら第1無機層39および第2無機層41の周端縁部同士は、少なくとも最も外周の堰止壁42を覆う部分およびその外側で互いに接合されている。すなわち、有機層40は、第1無機層39および第2無機層41によって包み込まれており、第1無機層39および第2無機層41の間に封入されている。
また、額縁領域3において、表示領域2におけるソース配線15sと電気的に接続された複数の額縁配線15f、つまり各ソース配線15sを構成する額縁配線15fは、表示領域2から平坦化膜16および堰止壁42よりも下層を経由して端子部4にまで引き出されている。これら各額縁配線15fは、スリット16sと交差する方向に延び、当該スリット16sを横切るように形成されている。
これら各額縁配線15fは、図6に示すように、層間絶縁膜20の下層に設けられた配線下層部15Aと、層間絶縁膜20の上層に設けられた配線上層部15Bとを備えている。
配線下層部15Aは、ゲート絶縁膜18上にゲート電極19と同一層に同一材料によって形成されており、額縁配線15fのうち表示領域2から端子部4に延びる部分全体を構成している。すなわち、配線下層部15Aは、額縁領域3における表示領域2と端子部4との間で、ゲート絶縁膜18と層間絶縁膜20との間を通して引き出されている。そのことで、額縁配線15fは、その大部分に亘って層間絶縁膜20により水分や酸素などから保護されている。
他方、配線上層部15Bは、ソース電極21およびドレイン電極22と同一層に同一材料によって形成されており、端子部4に位置している。配線上層部15Bは、層間絶縁膜20に形成されたコンタクトホール46を介して配線下層部15Aのうち端子部4に位置する引き出し端部に接続されている。そして、配線上層部15Bは、周端面を含めその全体に亘って平坦化膜16から露出しており、端子部4にて配線端子15tを構成している。
この配線端子15t(配線上層部15B)は、図7に示すように、層間絶縁膜20上に樹脂基板層7側から第1導電層47、第2導電層48および第3導電層49が順に積層された積層構造を有している。第1導電層47および第3導電層49は、チタン(Ti)によってそれぞれ形成されている。第2導電層48は、アルミニウム(Al)によって形成されている。このような3層構造の配線端子15tでは、第2導電層48が第1導電層47および第3導電層49よりも狭い幅で細く形成されている。それによって、配線端子15tは、周端面のうち第2導電層48に対応する部分が配線端子15tの内方に凹んだ凹部50を有している。
そして、配線端子15tの凹部50には、第2導電層48の周端面を覆う樹脂カバー51が設けられている。樹脂カバー51は、隣り合う配線端子15t毎に分離されている。この樹脂カバー51の厚さt1は、配線端子15t(ソース配線15s)の厚さt2よりも小さく、樹脂カバー51の最表面は、配線端子15tの側方に位置している。具体的に、この第1の実施形態では、樹脂カバー51は、凹部50内のみに形成されて、配線端子15tの側方に臨む面を凹部50内方に湾曲した形状で有している。
そうした樹脂カバー51は、例えば、アクリレート、ポリ尿素、バリレン、ポリイミド、ポリアミドなどの有機樹脂材料によって形成されている。第2導電層48は、このような樹脂カバー51により保護されている。そして、配線端子15tは、平坦化膜16などの他の層によって覆われることなく、開放的に設けられている。端子部4に実装されるFPCは、表示用配線15に対して配線端子15tである配線上層部15Bにて導通がとられる。
上記構成の有機EL表示装置1では、各サブ画素6において、ゲート配線15gを介して第1TFT12にゲート信号が入力されることにより第1TFT12がオン状態となり、ソース配線15sを介して第2TFT13のゲート電極19およびキャパシタ14にソース信号に対応する所定の電圧が書き込まれて、第2TFT13のゲート電圧に応じた電流が電源配線15pから有機EL素子9に供給されることにより、有機EL層30の発光層36が発光して、画像表示が行われる。なお、有機EL表示装置1では、第1TFT12がオフ状態になっても、第2TFT13のゲート電圧がキャパシタ14によって保持されるので、次のフレームのゲート信号が入力されるまで有機EL層30(発光層36)の発光がサブ画素6毎に維持される。
〈有機EL表示装置の製造方法〉
有機EL表示装置1の製造方法は、図8に示すように、TFT層形成工程S01と、有機EL素子形成工程S02と、封止膜形成工程S03と、実装工程S04とを含む。
TFT層形成工程S01は、ベースコート膜形成工程S11と、半導体層形成工程S12と、ゲート絶縁膜形成工程S13と、ゲート電極形成工程S14と、層間絶縁膜形成工程S15と、ソースドレイン電極形成工程S16と、樹脂カバー形成工程S17と、平坦化膜形成工程S18とを含む。ここで、ベースコート膜形成工程S11、ゲート絶縁膜S13および層間絶縁膜形成工程S15は、無機膜形成工程に相当する。また、ゲート電極形成工程S11とソースドレイン電極形成工程S16とは、各種の表示用配線15(ゲート配線15g,ソース配線15s,電源配線15p)を形成する配線形成工程に相当する。
まず、ベースコート膜形成工程S11では、ガラス基板上に形成された樹脂基板層7の表面に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を単層でまたは積層するように成膜して、ベースコート膜11を形成する。
次に、半導体層形成工程S12では、ベースコート膜11が形成された基板上に、例えばCVD法により半導体膜を成膜し、その半導体膜に対し、必要に応じて結晶化処理や低抵抗化処理を施した後に、フォトリソグラフィ処理(レジスト塗布、プリベーク、露光、現像、ポストベーク、エッチングおよびレジスト剥離)を行って、当該半導体膜をパターニングすることにより、半導体層17を形成する。
次に、ゲート絶縁膜形成工程S13では、半導体層17が形成された基板上に、例えばCVD法により、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を単層でまたは積層するように成膜して、ゲート絶縁膜18を形成する。
次に、ゲート電極形成工程S14では、ゲート絶縁膜18が形成された基板上に、例えばスパッタリング法により、チタン膜、アルミニウム膜およびチタン膜を順に成膜して積層導電膜を形成した後に、その積層導電膜に対しフォトリソグラフィ処理を行って、当該積層導電膜をパターニングすることにより、ゲート電極19を形成する。このとき、ゲート電極19を形成する積層導電膜からは、ゲート配線15gと、ソース配線15sおよび電源配線15pを構成する額縁配線15fの配線下層部15Aを併せて形成する。
次に、層間絶縁膜形成工程S15では、まず、ゲート電極19などが形成された基板上に、例えばCVD法により、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を成膜して、第1層間絶縁膜23を形成する。続いて、第1層間絶縁膜23上に、例えばCVD法により、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を成膜して、第2層間絶縁膜24を形成する。
このようにして、第1層間絶縁膜23および第2層間絶縁膜24が積層された層間絶縁膜20が形成される。そして、この層間絶縁膜20に対しフォトリソグラフィ処理を行って、当該層間絶縁膜20をパターニングすることにより、コンタクトホール25を形成する。このとき、コンタクトホール25はゲート絶縁膜18にも形成する。
次に、ソースドレイン電極形成工程S16では、まず、層間絶縁膜20が形成された基板上に、例えばスパッタリング法により、第1導電膜としてのチタン膜、第2導電膜としてのアルミニウム膜および第3導電膜としてのチタン膜を順に成膜して、積層導電膜を形成する。そして、この積層導電膜に対しフォトリソグラフィ処理を行って、当該積層導電膜をパターニングすることにより、下層のチタン膜から第1導電層47を、上層のチタン膜から第3導電層49をそれぞれ形成すると共に、アルミニウム膜から第2導電層48を形成して、ソース電極21およびドレイン電極22を形成する。
このとき、ソース電極21およびドレイン電極22を形成する積層導電膜からは、表示領域2のソース配線15sおよび電源配線15pと、端子部4で配線端子15tを構成する配線上層部15Bを併せて形成する。ここでのフォトリソグラフィ処理におけるエッチングは、例えば、燐酸、酢酸および硝酸の混合液をエッチング液として用いたウェットエッチングである。このウェットエッチングにおいて、アルミニウム膜はチタン膜よりもエッチング液によってエッチングされ易いため、表示領域2におけるソース配線15s、電源配線15p、ソース電極21、ドレイン電極22および端子部4の配線上層部15B(以下では「配線上層部15Bなど」と称する)では、第2導電層48(アルミニウム層)が第1導電層47および第3導電層49(共にチタン層)よりも細くなるサイドシフトが生じ、凹部50が形成される。
次に、樹脂カバー形成工程S17では、まず、ソース電極21およびドレイン電極22が形成された基板上に、例えば真空蒸着法により、アクリレートなどの有機樹脂膜100を100nm~300nm程度の厚さに成膜する。真空蒸着法による有機樹脂膜100の成膜では、図9に示すように、有機樹脂膜100の材料が配線上層部15Bなどの凹部50内に回り込んで、その凹部50内にも有機樹脂膜100が好適に形成される。これにより、有機樹脂膜100に当該凹部50内で空隙が生じるのを防ぐことができる。
続いて、その有機樹脂膜100を、例えばプラズマPを利用してアッシングすることにより部分的に除去して、表示用配線15の配線端子15tを構成する配線上層部15Bの凹部50に樹脂カバー51を形成する。このアッシングでは、プラズマPとして、例えば酸素プラズマが用いられる。ここで、有機樹脂膜100は、図10に示すように、アッシングの進行に伴い表面101側から次第に除去されて後退していき、最終的にはその大部分がプラズマPによって除去される。しかし、平坦化膜16の一部が配線上層部15Bなどの凹部50内に残存することで、樹脂カバー51が隣り合う配線上層部15B毎に分離して形成される。
次に、平坦化膜形成工程S18では、まず、例えばスピンコート法などの公知の塗布法により、アクリル樹脂などからなる感光性の有機樹脂膜を成膜する。そして、この有機樹脂膜に対し、プリベーク、露光、現像およびポストベークを行って、当該有機樹脂膜をパターニングすることにより、平坦化膜16を形成する。このとき、平坦化膜16を形成する有機樹脂膜からは、堰止壁42を構成する第1壁層43を併せて形成する。また、配線端子15tを構成する配線上層部15Bは、平坦化膜16から露出した状態とされる。
このようにして、TFT層形成工程S01では、樹脂基板層7上にTFT層8を形成する。
次に行われる有機EL素子形成工程S02は、第1電極形成工程S21と、エッジカバー形成工程S22と、有機EL層形成工程S23と、第2電極形成工程S24とを含む。
第1電極形成工程S21では、TFT層8が形成された基板上に、例えばスパッタリング法により、ITO(Indium Tin Oxide)膜、銀合金膜(MgAg膜)およびITO膜を順次成膜して積層導電膜を形成した後に、その積層導電膜に対しフォトリソグラフィ処理を行って、当該積層導電膜をパターニングすることにより、複数の第1電極29を形成する。
次に、エッジカバー形成工程S22では、複数の第1電極29上に、例えば、感光性アクリル樹脂を塗布した後に、その塗布膜に対し、プリベーク、露光、現像およびポストベークを行って、当該塗布膜をパターニングすることにより、エッジカバー33を形成する。
次に行う有機EL層形成工程S23では、エッジカバー33が形成された基板上に、FMM(Fine Metal Mask)の成膜用マスクを用いて、例えば真空蒸着法により、正孔注入層34、正孔輸送層35、発光層36、電子輸送層37および電子注入層38を順次成膜して、個々の第1電極29上に有機EL層30を形成する。
次に行う第2電極形成工程S24では、有機EL層30が形成された基板上に、CMM(Common Metal Mask)の成膜用マスクを用いて、例えば真空蒸着法により銀合金膜(MgAg膜)を成膜して、第2電極31を形成する。
このようにして、有機EL素子形成工程S02では、TFT層8上に有機EL素子9を形成する。
次に、封止膜形成工程S03では、まず、有機EL素子9が形成された基板上に、成膜用マスクを用いて、例えばCVD法により、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を単層でまたは積層するように成膜して、第1無機層39を形成する。
続いて、第1無機層39が形成された基板上に、例えばインクジェット法によりアクリレートなどの有機樹脂材料を成膜して、有機層40を形成する。
そして、有機層40が形成された基板上に、成膜用マスクを用いて、例えばCVD法により、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を単層でまたは積層するように成膜して、第2無機層41を形成する。
このようにして、封止膜形成工程S03では、第1無機層39、有機層40および第2無機層41が積層された封止膜10を形成する。
しかる後、実装工程S04では、封止膜10が形成された基板の端子部4に、ACF(Anisotropic Conductive Film)やACP(Anisotropic Conductive Paste)などの導電材を用いてFPCを接続することにより、FPCを配線端子15tとの導通をとって実装する。
以上のようにして、有機EL表示装置1を製造することができる。
この第1の実施形態に係る有機EL表示装置1によると、表示用配線15の配線端子15tを、第1導電層47、第2導電層48および第3導電層49が積層され、第2導電層48に対応する部分が当該配線15の内方に凹んだ凹部50を有する構成とし、その凹部50に第2導電層48の周端面を覆う樹脂カバー51を設けるようにしたから、配線端子15tの第2導電層48が樹脂カバー51によって保護される。そのことで、配線端子15tの周端面は膜厚の比較的厚い平坦化膜16によって覆われていなくてもよくなる。
そして、当該樹脂カバー51の厚さt1は配線端子15tを構成する配線上層部15Bの厚さt2よりも小さいので、第2導電層48を保護しつつ配線端子15tをその周端面と共に平坦化膜16から露出させて開放的に設けることができる。これにより、当該配線端子15tの周囲に導通をとるための空間が確保されるから、配線端子15tとFPCとの導通をとり易く、実装工程S04を容易に行うことができる。さらには、FPCを端子部4に圧着するための力が弱くても実装できるので、この第1の実施形態に係る有機EL表示装置1の如くベース基板に可撓性を有する樹脂基板層7を採用している場合には、特に有効である。
また、この第1の実施形態に係る有機EL表示装置1の製造方法によると、配線端子15tを覆う有機樹脂膜100を成膜した後にその有機樹脂膜100をアッシングにより部分的に除去することで、配線端子15tの周端面に設けられた凹部50内で第2導電層48の端面を覆う樹脂カバー51を配線端子15tよりも厚さが小さくなるように形成することとしたから、配線端子15tにおいて樹脂カバー51により第2導電層48を保護しつつ、FPCと配線端子15tとの導通をとる実装工程を容易に行える構成を実現することができる。そして、この有機EL表示装置1の製造方法によれば、有機樹脂膜100を真空蒸着法によって成膜するので、有機樹脂膜100を形成する材料が配線端子15tの周端面に設けられた凹部50内に回り込んで、その凹部50内にも有機樹脂膜100が好適に形成される。これにより、有機樹脂膜100に当該凹部50内で空隙が生じるのを防いで、樹脂カバー51における第2導電層48を保護する役割の信頼性を向上させることができる。
《第2の実施形態》
図11は、第2の実施形態に係る有機EL表示装置1の図7相当図である。上記第1の実施形態に係る有機EL表示装置1では、樹脂カバー51が凹部50内のみに設けられて隣り合う配線端子15t毎に分離しているとしたが、この第2の実施形態に係る有機EL表示装置1では、樹脂カバー51は、図11に示すように、隣り合う配線端子15t同士で共通に設けられており、層間絶縁膜20における隣り合う配線端子15tの間の部分を覆っている。この第2の実施形態においても、樹脂カバー51の厚さt1は、配線端子15tの厚さt2よりも小さい。
このような樹脂カバー51は、有機EL表示装置1の製造方法における樹脂カバー形成工程S18にて、額縁領域3に形成された有機樹脂膜100を配線端子15tよりも薄くなるまで(例えば、有機樹脂膜100の表面101が図10に示す位置200になるまで)プラズマアッシングすることにより、配線端子15tの上面、つまり第3導電層49の上面を有機樹脂膜100(樹脂カバー51)から露出させて形成される。
この第2の実施形態に係る有機EL表示装置1によっても、上記第1の実施形態と同様に、表示用配線15の配線端子15tにおいて第2導電層48を保護しつつ、配線端子15tとFPCとの導通をとる実装工程S40を容易に行えるようにすることができる。
《第3の実施形態》
この絶縁層60は、平坦化膜16と同一層に同一材料によって形成されており、配線端子15tの凹部50に設けられた樹脂カバー51を部分的に覆っている。このような絶縁層70は、有機EL表示装置1の製造方法における平坦化膜形成工程S18にて、平坦化膜16を形成する有機樹脂膜から平坦化膜16と併せて形成される。
この第3の実施形態に係る有機EL表示装置1によると、額縁配線15fにおける配線上層部15Bのうち配線下層部15Aに接続された部分を絶縁層60によって覆うようにしたから、これら配線下層部15Aと配線上層部15Bとを接続するためのコンタクトホール46を通じて水分や酸素が装置1内に侵入するのを防止することができる。その他については、上記第1の実施形態に係る有機EL表示装置1と同様な効果を得ることができる。
《第4の実施形態》
この折曲部70においては、樹脂基板層7上に設けられた無機層、つまり層間絶縁膜20、ゲート絶縁膜18およびベースコート膜11に、直線状のスリット71が形成されている。スリット71は、額縁領域3における表示領域2と端子部4との間を端子部4に沿って延びると共に、層間絶縁膜20、ゲート絶縁膜18およびベースコート膜11を貫通して、樹脂基板層7の表面を露出させるように形成されている。
額縁配線15fを構成する配線下層部15Aは、スリット71が設けられていることで、表示領域2側と端子部4側とに分断されている。また、折曲部70には、スリット71の内部を埋め立てると共に、層間絶縁膜20の開口周縁部を覆う埋立て膜72が設けられている。この埋立て膜72は、平坦化膜16と同一層に同一材料によって形成されている。埋立て膜72の層間絶縁膜20上の高さh3は、平坦化膜16の高さh4よりも小さい。
額縁領域3には、スリット71を挟んで表示領域2側の配線下層部15Aと端子部4側の配線下層部15Aとを連結する配線連結層73が設けられている。配線連結層73は、額縁平坦化膜72の表示領域2側から端子部4側にかけて埋立て膜72上を延びてスリット71を横切るように形成され、埋立て膜72上で平坦化膜16から露出している。この配線連結層73は、層間絶縁膜20に形成されたコンタクトホール74を介して表示領域2側の配線下層部15Aと端子部4側の配線下層部15Aとにそれぞれ接続されている。
配線連結層73は、第1電極29と同一層に同一材料によって形成されている。配線連結層73は、配線端子15tを構成する配線上層部15Bと同じく、図15に示すように、第1導電層75、第2導電層76および第3導電層77が順に積層された積層構造を有し、第2導電層76が第1導電層75および第3導電層77よりも狭い幅で細く形成されていることによって、周端面のうち第2導電層76に対応する部分が配線連結層73の内方に凹んだ凹部78を有している。
そして、配線連結層73の凹部78には、配線上層部15Bと同様に、第2導電層48の周端面を覆う樹脂カバー79が設けられている。樹脂カバー79は、例えば、アクリレート、ポリ尿素、バリレン、ポリイミド、ポリアミドなどの有機樹脂材料によって形成され、配線端子15tの凹部50に設けられた樹脂カバー51と同じ態様で凹部50内のみに設けられている。この樹脂カバー79の厚さt3は、配線連結層73の厚さt4よりも小さく、樹脂カバー79の最表面は、配線連結層73の側方に位置している。
この第4の実施形態に係る有機EL表示装置1を製造方法は、上記第1の実施形態で説明したTFT層形成工程S01にスリット形成工程を含む。スリット形成工程は、例えば、層間絶縁膜形成工程S15とソースドレイン電極形成工程S16との間に行われる。スリット形成工程では、層間絶縁膜20、ゲート絶縁膜18およびベースコート膜11に対しフォトリソグラフィ処理を行って、スリット71を形成する。こうしたスリット71の形成は、層間絶縁膜20へのコンタクトホール25,74の形成と併せて行われていてもよい。
また、平坦化膜形成工程S18では、上述したように公知の塗布法により感光性の有機樹脂膜を成膜し、その有機樹脂膜をパターニングすることにより平坦化膜16を形成すると共に、スリット71を埋め立てるように埋立て膜72を形成する。その後、埋立て膜72をアッシングにより表面側から部分的に除去して、埋立て膜72の層間絶縁膜20上の高さh1を平坦化膜16の高さh2よりも小さくする。
また、第1電極形成工程S21では、上述したようにスパッタリング法によりITO膜、銀合金膜およびITO膜を順次成膜して積層導電膜を形成し、その積層導電膜をフォトリソグラフィ処理でパターニングすることにより、複数の第1電極29を形成すると共に、埋立て膜72上にスリット71を横切るように複数の配線連結層73を形成する。このときのフォトリソグラフィ処理におけるエッチングにより、各配線連結層73には、第2導電層48(AgMg層)が第1導電層47および第3導電層49(共にITO層)よりも細くなるサイドシフトが生じ、凹部50が形成される。
さらに、この第4の実施形態に係る有機EL表示装置1の製造方法は、上記第1の実施形態で説明した有機EL素子形成工程S02に樹脂カバー形成工程を含む。樹脂カバー形成工程は、第1電極形成工程S21とエッジカバー形成工程S22との間に行われる。この樹脂カバー形成工程では、上記第1の実施形態で説明したTFT層形成工程S01に含む樹脂カバー形成工程S17と同様な方法により、埋立て膜72上で平坦化膜16から露出した配線連結層73の凹部78に樹脂カバー79を形成する。
この第4の実施形態に係る有機EL表示装置1の製造方法では、配線連結層73の凹部78に樹脂カバー79を形成するのと併せて、配線上層部15Bの凹部50にも樹脂カバー51を形成してもよい。すなわち、第4の実施形態に係る有機EL表示装置1の製造方法では、上記第1の実施形態で説明したTFT層形成工程S01に含む樹脂カバー形成工程S17は行わなくてもよい。
以上のようにして、折曲部70を備えた有機EL表示装置1を製造することができる。
この第4の実施形態に係る有機EL表示装置1によると、折曲部70において、額縁領域3を最大180°程度の角度にまで折り曲げ可能にすることができる。また、平坦化膜16から露出した配線連結層73の周端面にできる凹部78に第2導電層76の周端面を覆う樹脂カバー79が設けられているので、配線連結層73の第2導電層76を樹脂カバー79によって保護することができる。その他については、上記第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
《第5の実施形態》
各ソース配線15sを構成する額縁配線15fは、平坦化膜16と堰止壁42との間のスリット16sの内部および堰止壁42の外側で当該平坦化膜16から露出している。これら各ソース配線15sは、図17に示すように、周端面のうち第2導電層48に対応する部分が配線端子15tの内方に凹んだ凹部50を全体に亘って有している。そして、各ソース配線15sの凹部50には、第2導電層48の周端面を覆う樹脂カバー51が設けられている。
上記のように表示領域2のソース配線15sが層間絶縁膜20上をそのまま端子部4にまで引き出されていると、有機EL表示装置1の製造過程において、水分が額縁配線15fの周端面にできる凹部50を通ってソース配線15s伝いに装置1内に浸入するおそれがある。しかも、ソース配線15sを構成する額縁配線15fの本数は表示画面の高精細化のために他の表示用配線15と比べて桁違いに多いから、水分が多数のソース配線15sを伝って装置1内に多く浸入し易く、有機EL表示装置1の信頼性に大きな悪影響を及ぼす。
そのため、上記第1の実施形態の有機EL表示装置1では、各ソース配線15sを構成する額縁配線15fが、ゲート配線15gおよびゲート電極19と同一層に同一材料によって形成され、表示領域2から層間絶縁膜20の下層を経由して端子部4にまで引き回された構成を採用している。こうした額縁配線15fの構成によると、有機EL表示装置1の信頼性は向上するものの、ソース配線15sの抵抗が増加するため、ソース配線15sによって伝達されるデータ信号のなまりなどの影響が生じる。
これに対し、この第5の実施形態に係る有機EL表示装置1によると、各ソース配線15sを構成する額縁配線15fが層間絶縁膜20上をそのまま端子部4にまで引き出されているので、ソース配線15sによって伝達されるソース信号のなまりなどを低減できる。そして、額縁配線15fを含め各ソース配線15sの周端面にできる凹部50に樹脂カバー51が設けられているので、水分が凹部50内を通ってソース配線15s伝いに表示領域2に進入するのを防止できる。これにより、有機EL素子9の劣化を抑制し、有機EL表示装置1の信頼性を向上させることができる。
以上のように、本開示の技術の例示として、好ましい実施形態について説明した。しかし、本開示の技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須でない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることを以て、直ちにそれらの必須でない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
例えば、上記第1~第5の実施形態について、以下のような構成としてもよい。
上記第1~第5の実施形態では、表示用配線15の配線端子15tを構成する配線上層部15Bについて第1導電層47および第3導電層49がチタン(Ti)によって形成されているとしたが、本開示の技術の適用範囲はこれに限らない。第1導電層47および第3導電層49は、チタン(Ti)に代えて、例えば、窒化チタン(TiN)や酸化チタン(TiO)、その他のチタン(Ti)を主成分とする合金によって形成されていてもよく、チタン(Ti)の他、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、タングステン(W)やそれらの合金によって形成されるなど、これらの金属元素から選択された少なくとも1元素を含んで形成されていてもよい。
また、上記第1~第5の実施形態では、表示用配線15の配線端子15tを構成する配線上層部15Bについて第2導電層48がアルミニウム(Al)によって形成されているとしたが、本開示の技術の適用範囲はこれに限らない。第2導電層48は、アルミニウム(Al)に代えて、例えば、銅(Cu)や銀(Ag)、それらを主成分をする合金によって形成されるなど、アルミニウム(Al)、銅(Cu)および銀(Ag)から選択される少なくとも1元素を含んで形成されていてもよい。
また、上記第1~第5の実施形態では、表示用配線15の配線端子15tを構成する配線上層部15Bについて第1導電層47、第2導電層48および第3導電層49からなる3層構造を例示したが、これに限らない。当該配線上層部15Bは、これら第1導電層47、第2導電層48および第3導電層49を含む4層以上の積層構造とされていてもよい。
また、上記第1~第5の実施形態では、有機EL層30が各サブ画素6に個別に形成されているとしたが、本開示の技術の適用範囲はこれに限らない。有機EL層30は、複数のサブ画素6に共通して設けられていてもよい。この場合、有機EL表示装置1は、カラーフィルタを備えるなどして、各サブ画素6の色調表現を行っていてもよい。
また、上記第1~第5の実施形態では、ベース基板に樹脂基板層7を用いる有機EL表示装置1を例示したが、本開示の技術の適用範囲はこれに限らない。ベース基板としては、ガラスや石英などの無機材料、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチック、アルミナなどのセラミックからなる基板が用いられていてもよい。また、ベース基板は、アルミニウムや鉄などの金属基板の一方面をシリカゲルや有機絶縁材料などでコーティングした基板、または金属基板の表面に陽極酸化などの方法により絶縁化処理を施した基板などであっても構わない。
また、上記第1~第5の実施形態では、第1TFT12および第2TFT13について、トップゲート型の構造を採用するとしたが、本開示の技術の適用範囲はこれに限らない。第1TFT12および第2TFT13はボトムゲート型の構造を採用していてもよい。
また、上記第1~第5の実施形態では、正孔注入層34、正孔輸送層35、発光層36、電子輸送層37および電子注入層38の5層積層構造の有機EL層30を例示したが、本開示の技術の適用範囲はこれに限らない。有機EL層30は、例えば、正孔注入層兼正孔輸送層、発光層および電子輸送層兼電子注入層の3層積層構造を採用していてもよい。
また、上記第1~第5の実施形態では、第1電極29を陽極とし、第2電極31を陰極とした有機EL表示装置1を例示したが、本開示の技術の適用範囲はこれに限らない。本開示の技術は、例えば、有機EL層30の積層構造を反転させて、第1電極29を陰極とし、第2電極31を陽極とした有機EL表示装置にも適用することが可能である。
また、上記第1~第5の実施形態では、表示装置として有機EL表示装置1を例示したが、これに限らない。本開示の技術は、電流によって駆動される複数の発光素子を備えた表示装置、例えば、量子ドット含有層を用いた発光素子であるQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)を備えた表示装置に適用することが可能である。
以上説明したように、本開示の技術は、表示装置およびその製造方法について有用である。
GDM ゲートドライバ回路 This display device is provided with: display wiring (15) that is provided on a resin substrate layer (7); a flattened film (16) that covers the display wiring; and an organic EL element (9) that is provided on the flattened film. The display wiring has first to third conductive layers (47, 48, 49) which are laminated in order from the resin substrate layer side. The display wiring is formed such that: the second conductive layer is formed narrower in width than the first and third conductive layers; a part of the peripheral end surface that corresponds to the second conductive layer has a recess (50); the display wiring including the peripheral end surface is exposed from the flattened film; and a resin cover (51) is provided to the recess (50) in the part of the display wiring that is exposed from the flattened film, so as to cover the peripheral end surface of the second conductive layer.
ベース基板と、
請求項1に記載された表示装置において、
請求項2に記載された表示装置において、
請求項3に記載された表示装置において、
請求項4に記載された表示装置において、
請求項2~5のいずれか1項に記載された表示装置において、
請求項2に記載された表示装置において、
請求項1~7のいずれか1項に記載された表示装置において、
請求項1~7のいずれか1項に記載された表示装置において、
請求項1~9のいずれか1項に記載された表示装置において、
請求項1~10のいずれか1項に記載された表示装置において、
ベース基板上に、第1導電層、第2導電層および第3導電層が順に積層された積層構造を有し、且つ周端面のうち前記第2導電層に対応する部分に当該配線の内方に凹んだ凹部が設けられた配線を形成する配線形成工程と、
請求項12に記載された表示装置の製造方法において、
請求項12または13に記載された表示装置の製造方法において、
請求項12または13に記載された表示装置の製造方法において、
請求項12~15のいずれか1項に記載された表示装置の製造方法において、
この第1の実施形態では、本開示の技術に係る表示装置およびその製造方法の一例として、有機EL表示装置およびその製造方法を説明する。
第1の実施形態に係る有機EL表示装置1について、図1~図7を参照しながら説明する。図1は、有機EL表示装置1の概略構成を示す平面図である。図2は、図1の有機EL表示装置1の表示領域2におけるIIで囲んだ部分の平面図である。図3は、有機EL表示装置を構成するTFT層8の一部の等価回路図である。図4は、図2の有機EL表示装置1の表示領域2におけるIV-IV線における断面図である。図5は、有機EL表示装置1を構成する有機EL層30の構成を示す断面図である。図6は、図1の有機EL表示装置1のVI-VI線における端子部4を含む額縁領域3の断面図である。図7は、図1の有機EL表示装置1のVII-VII線における端子部4の要部を示す断面図である。
有機EL表示装置1の製造方法について、図8~図10を参照しながら説明する。図8は、有機EL表示装置1の製造方法を示すフロー図である。図9は、有機EL表示装置1の製造方法における樹脂カバー形成工程S17で有機樹脂膜100が形成された要部の様子を示す断面図である。図10は、有機EL表示装置1の製造方法における樹脂カバー形成工程S17でアッシングしているときの要部の様子を示す断面図である。
第2の実施形態に係る有機EL表示装置1は、樹脂カバー51の構成が上記第1の実施形態と異なる。なお、以下の実施形態では、有機EL表示装置1およびその製造方法について、上記第1の実施形態とは異なる構成および手順のみを説明し、同一の構成箇所は図1~図10に基づく上記第1の実施形態の説明に譲ることにして、その詳細な説明を省略する。
図12は、第3の実施形態に係る有機EL表示装置1の図6相当図である。この第3の実施形態に係る有機EL表示装置1は、額縁配線15fを構成する配線下層部15Aと配線上層部15Bとの接続箇所における構成が上記第1の実施形態と異なる。この有機EL表示装置1では、図12に示すように、額縁配線15fにおける配線上層部15Bのうち配線下層部15Aに接続された部分が絶縁層60によって覆われている。
図13は、第4の実施形態に係る有機EL表示装置1の図1相当図である。図14は、図13の有機EL表示装置1のXIV-XIV線における端子部4を含む額縁領域3の断面図である。図15は、図14の有機EL表示装置1のXV-XV線における折曲部70の要部を示す断面図である。この第4の実施形態に係る有機EL表示装置1は、額縁領域3における表示領域2と端子部4との間の構成が上記第1の実施形態と異なる。この有機EL表示装置1では、図13および図14に示すように、額縁領域3における表示領域2と端子部4との間に、他部よりも折り曲げ易い折曲部70が、端子部4に沿って額縁領域3の一端から他端にまで設けられている。
図16は、第5の実施形態に係る有機EL表示装置1の図6相当図である。図17は、図16の有機EL表示装置1のXVII-XVII線における要部を示す断面図である。この第5の実施形態に係る有機EL表示装置1は、各ソース配線15sを構成する額縁配線15fの構成が第1の実施形態と異なる。この有機EL表示装置1では、図16に示すように、各ソース配線15sを構成する額縁配線15fは、ソース電極21およびドレイン電極22と同一層に同一材料によって形成されており、表示領域2のソース配線15sが層間絶縁膜20上をそのまま端子部4にまで引き出されている。
P プラズマ
1 有機EL表示装置
2 表示領域
3 額縁領域
4 端子部
5 画素
6,6r,6g,6b サブ画素
7 樹脂基板層(ベース基板)
8 TFT層
9 有機EL素子(発光素子)
10 封止膜
11 ベースコート膜
12 第1TFT
13 第2TFT
14 キャパシタ
15 表示用配線
15A 配線下層部
15B 配線上層部
15g ゲート配線
15s ソース配線
15p 電源配線
15f 額縁配線
15t 配線端子
16 平坦化膜
17 半導体層
18 ゲート絶縁膜
19 ゲート電極
20 層間絶縁膜
21 ソース電極
22 ドレイン電極
23 第1層間絶縁膜
24 第2層間絶縁膜
25 コンタクトホール
26 下部導電層
27 上部導電層
28 コンタクトホール
29 第1電極
30 有機EL層
31 第2電極
32 コンタクトホール
33 エッジカバー
34 正孔注入層
35 正孔輸送層
36 発光層
37 電子輸送層
38 電子注入層
39 第1無機層
40 有機層
41 第2無機層
42 堰止壁
43 第1壁層
44 第2壁層
46 コンタクトホール
47 第1導電層
48 第2導電層
49 第3導電層
50 凹部
51 樹脂カバー
60 絶縁層
70 折曲部
71 スリット
72 額縁平坦化膜
73 配線連結層
74 コンタクトホール
75 第1導電層
76 第2導電層
77 第3導電層
78 凹部
79 樹脂カバー
100 有機樹脂膜
前記ベース基板上に設けられた配線と、
前記配線を覆うように設けられた平坦化膜と、
前記平坦化膜上に設けられた発光素子と、を備え、
前記配線が、前記ベース基板側から第1導電層、第2導電層および第3導電層が順に積層された積層構造を有する表示装置であって、
前記配線は、前記第2導電層が前記第1導電層および前記第3導電層よりも狭い幅で形成されていることにより、周端面のうち前記第2導電層に対応する部分が当該配線の内方に凹んだ凹部を有し、且つ、周端面を含めて前記平坦化膜から露出しており、
前記配線のうち前記平坦化膜から露出した部分における前記凹部には、前記第2導電層の周端面を覆う樹脂カバーが設けられ、
前記樹脂カバーの厚さは、前記配線の厚さよりも小さい
ことを特徴とする表示装置。
前記発光素子の発光によって画像表示を行う表示領域と、該表示領域の周囲に設けられた額縁領域とを有し、
前記額縁領域には端子部が設けられ、
前記配線は、前記表示領域から前記額縁領域を前記端子部にまで引き出されており、
前記配線のうち少なくとも前記端子部に位置する部分は、前記平坦化膜から露出し、前記凹部に前記樹脂カバーを有している
ことを特徴とする表示装置。
前記ベース基板上には、前記平坦化膜よりも下層に層間絶縁膜が設けられており、
前記配線は、前記層間絶縁膜の下層に位置する配線下層部と、前記層間絶縁膜の上層に位置する配線上層部とを備え、
前記配線下層部は、前記額縁領域における前記表示領域と前記端子部との間に設けられており、
前記配線上層部は、前記端子部に位置し、前記層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して前記配線下層部に接続されており、前記樹脂カバーが設けられた前記積層構造を有すると共に前記平坦化膜から露出している
ことを特徴とする表示装置。
前記配線上層部のうち前記配線下層部に接続された部分は絶縁層によって覆われている
ことを特徴とする表示装置。
前記絶縁層は、前記平坦化膜と同一層に同一材料によって形成されている
ことを特徴とする表示装置。
前記平坦化膜の外周には、当該平坦化膜の下層を露出させるスリットが前記表示領域を囲むように形成されており、
前記配線は、前記表示領域にソース信号を伝達するソース配線であって、前記スリットを横切るように複数形成され、
前記樹脂カバーは、前記配線のうち前記スリットの内部に位置する部分における前記凹部に設けられている
ことを特徴とする表示装置。
前記ベース基板は、可撓性を有する樹脂製の基板であり、
前記額縁領域には、前記ベース基板上に前記配線と共に少なくとも1層の無機膜が設けられ、
前記少なくとも1層の無機膜には、前記額縁領域における前記表示領域と前記端子部との間を前記端子部に沿って延びるスリットが形成され、
前記額縁領域のうち前記スリットに対応する部分は、当該スリットを埋め立てる埋立て膜を有し、他部よりも曲げ易い折曲部を構成しており、
前記配線は、前記埋立て膜上に前記スリットを横切るように形成され、
前記樹脂カバーは、前記配線のうち前記埋立て膜上で前記平坦化膜から露出した部分における前記凹部に設けられている
ことを特徴とする表示装置。
前記配線は、複数設けられ、隣り合って延びており、
前記樹脂カバーは、隣り合う前記配線毎に分離して設けられている
ことを特徴とする表示装置。
前記配線は、複数設けられ、隣り合って延びており、
前記樹脂カバーは、隣り合う前記配線同士で共通に設けられている
ことを特徴とする表示装置。
前記第1導電層および第3導電層は、チタン、モリブデン、クロム、ニオブ、タンタルおよびタングステンから選択された少なくとも1元素を含み、
前記第2導電層は、アルミニウム、銅および銀から選択された少なくとも1元素を含む
ことを特徴とする表示装置。
前記発光素子は、有機EL素子である
ことを特徴とする表示装置。
前記配線のうち前記第2導電層の周端面を覆う樹脂カバーを形成する樹脂カバー形成工程と、を含み、
前記樹脂カバー形成工程は、前記配線を覆う樹脂膜を蒸着法によって成膜する成膜工程と、該成膜工程で成膜された樹脂膜をアッシングすることにより前記樹脂カバーを前記配線よりも厚さが小さくなるように形成するアッシング工程と、を含む
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
前記樹脂カバー形成工程よりも前に、前記配線を覆う平坦化膜を形成する平坦化膜形成工程をさらに含み、
前記平坦化膜形成工程では、前記配線の一部を、周端面を含めて前記平坦化膜から露出させ、
前記樹脂カバー形成工程では、前記配線のうち前記平坦化膜から露出した部分における前記凹部に前記樹脂カバーを形成する
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
前記配線形成工程では、前記配線を隣り合って延びるように複数形成し、
前記樹脂カバー形成工程では、前記樹脂膜をアッシングにより部分的に除去することで、隣り合う前記配線の間で前記ベース基板上における前記配線の形成面を露出させ、前記樹脂カバーを隣り合う前記配線毎に分離して形成する
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
前記配線形成工程では、前記配線を隣り合って延びるように複数形成し、
前記樹脂カバー形成工程では、前記樹脂膜をアッシングにより部分的に除去することで、前記配線の上面を露出させ、前記樹脂カバーを隣り合う前記配線同士で共通に形成する
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
前記ベース基板に、可撓性を有する樹脂製の基板を用い、
前記ベース基板上に前記配線と共に少なくとも1層の無機膜を形成する無機膜形成工程と、前記少なくとも1層の無機膜にスリットを形成するスリット形成工程と、前記樹脂カバー形成工程よりも前に前記配線を覆う平坦化膜を形成する平坦化膜形成工程と、前記平坦化膜上に電極を形成する電極形成工程と、を含み、
前記平坦化膜形成工程では、塗布法により有機膜を成膜した後、該有機膜をパターニングすることによって前記平坦化膜を形成すると共に、前記スリットを埋め立てる埋立て膜を形成し、該埋立て膜をアッシングすることにより、当該埋立て膜の高さを前記平坦化膜よりも低くし、
前記電極形成工程では、導電膜を成膜した後、該導電膜をパターニングすることによって前記電極を形成すると共に、前記埋立て膜上に前記スリットを横切るように前記積層構造を有する前記配線の一部を形成し、
前記樹脂カバー形成工程では、前記配線のうち前記埋立て膜上で前記平坦化膜から露出した部分における前記凹部に前記樹脂カバーを形成する
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
















