HIGH-FREQUENCY TRANSMISSION LINE AND ELECTRONIC DEVICE
本発明は、高周波信号を伝送する高周波伝送線路および当該高周波伝送線路を備える電子機器に関する。
従来、高周波信号を伝送する薄型の高周波伝送線路として、特許文献1に示すような構造のものが考案されている。特許文献1に記載の高周波伝送ケーブルは、所謂トリプレート型のストリップライン構造である。具体的には、平板状の誘電体素体の厚み方向に沿って、第1グランド導体、信号導体、第2グランド導体が順に間隔をおいて配設されている。第1グランド導体と第2グランド導体は、ビア導体によって接続されている。
信号導体は、誘電体素体の長手方向に沿って伸長する長尺状の線状導体である。第1グランド導体は、誘電体素体の厚み方向に直交する平面の略全面に形成されている。
第2グランド導体は、誘電体素体の長手方向に沿って伸長する二本の長尺導体を備える。二本の長尺導体は、誘電体素体の長手方向に直交する短手方向の両端付近に形成されている。二本の長尺導体は、長手方向に沿って間隔をおいてブリッジ導体によって接続されている。これにより、第2グランド導体には、長手方向(伸長方向)に沿って、複数の開口部が設けられている。このように開口部を設けることで、高周波伝送線路を湾曲しやすくしている。
このような構造の高周波伝送線路の特性インピーダンスは、信号導体と第1、第2グランド導体との形状および位置関係と、誘電体素体の誘電率によって決まるが、主としては、信号導体と第1グランド導体との形状および位置関係と、誘電体素体の誘電率によって決まる。
しかしながら、上述のようなトリプレート型のストリップライン構造からなる高周波伝送線路を、高周波信号の伝送中に熱分析した結果、高周波伝送線路の中央領域で発熱量が多くなることが、発明者らによって発見された。
具体的には、高周波伝送線路の両端(長尺方向の両端)にコネクタを接続し、当該コネクタを介して高周波信号を伝送させる。この際、高周波信号の周波数での高周波伝送線路全体としての特性インピーダンスは、略50Ωに設定されている。このように、インピーダンスマッチングされている状態であっても、2つのコネクタ接続点を結ぶ高周波伝送線路の伝送方向に沿った中央領域では、熱が発生してしまう。
そして、このように中央領域で熱が発生することで、当該中央領域での電力損失が大きくなり、高周波伝送線路としての伝送損失が大きくなってしまうことが分かった。
したがって、本発明の目的は、高周波信号の伝送による熱損失を抑制でき、伝送損失が低い高周波伝送線路を提供することにある。
この発明の高周波伝送線路は、次の構成を有することを特徴としている。高周波伝送線路は、互いに対向する第1主面と第2主面とを有する誘電体素体と、誘電体素体に設けられた信号伝送方向に伸長する形状の信号導体と、誘電体素体における信号導体と異なる層に形成されたグランド導体と、を備える。信号導体の伸長方向の中央領域の幅は、伸長方向の両端領域の幅よりも大きい。
また、この発明の高周波伝送線路では、誘電体素体は、主線路部と主線路部の両端に設けられる複数の外部接続部とを備え、主線路部の中央領域における信号導体の幅は複数の外部接続部近傍の信号導体の幅よりも大きい態様であってもよい。
これらの構成では、高周波伝送線路の中央領域で、信号導体の幅が広いので、信号導体の純抵抗(直流抵抗)が低くなる。これにより、高周波伝送線路の中央領域での発熱を抑制でき、伝送損失の増加を抑制できる。
また、この発明の高周波伝送線路では、信号導体の幅は伸長方向に沿って連続的に変化していることが好ましい。
この構成では、信号伝送方向に沿った高周波伝送線路のインピーダンス変化が不連続にならないので、不連続点による伝送損失を防止する。これにより、高周波信号をより低損失に伝送できる。
また、この発明の高周波伝送線路では、信号導体とグランド導体との対向面積は両端領域よりも中央領域の方が広い、もしくは、信号導体とグランド導体との距離は両端領域よりも中央領域の方が長いことが好ましい。
この構成では、信号導体の幅が広くなっても、信号導体とグランド導体との対向面積が小さくか、信号導体とグランド導体との距離が長くなる。したがって、信号導体とグランド導体との間で生じる静電容量は小さくなる。このため、信号導体の幅が広くなったことによる高周波伝送線路の特性インピーダンスの低下を抑制でき、信号導体の幅が広くなる前と同じ状態にすることができる。これにより、伝送損失の増加を抑制できる。
また、この発明の高周波伝送線路は、次の構成であってもよい。グランド導体は、信号導体よりも第1主面側に、信号導体に沿う形状で形成された第1グランド導体を備える。第1グランド導体は、信号導体の中央領域における対向面積が信号導体の両端領域における対向面積よりも小さい。
この構成では、グランド導体として信号導体と厚み方向に対向する第1グランド導体を備え、中央領域での信号導体と第1グランド導体との静電容量結合を低下させる具体的な態様を示している。
また、この発明の高周波伝送線路では、第1グランド導体は、信号導体の中央領域と対向する範囲に開口部が設けられていてもよい。この構成では、信号導体と第1グランド導体の対向面積を小さくする具体的な態様を示している。
また、この発明の高周波伝送線路では、信号導体の幅の変化に対応して、第1グランド導体の単位面積における開口部の面積の割合が変化させることが好ましい。
この構成では、信号導体の幅の変化に応じて、信号導体と第1グランド導体の対向面積が変化するので、信号導体の幅の変化による高周波伝送線路の特性インピーダンスの変化を、より精確に抑制できる。
また、この発明の高周波伝送線路では、信号導体の中央領域における第1グランド導体と信号導体の間隔が信号導体の両端領域における第1グランド導体と信号導体の間隔よりも広くてもよい。
この構成でも、信号導体と第1グランド導体との間の静電容量を低くでき、特性インピーダンスの変化を抑制できる。
また、この発明の高周波伝送線路では、信号導体の中央領域は、信号導体の両端領域よりも第2主面側に配設されており、信号導体の中央領域と両端領域は、誘電体素体の厚み方向に伸長する層間接続導体によって接続されていてもよい。
この構成では、信号導体の中央領域と第1グランド導体との間隔を、信号導体の両端領域と第1グランド導体との間隔よりも広くする具体的な態様を示しており、信号導体の中央領域と両端領域を異なる層に形成する態様を示している。
また、この発明の高周波伝送線路では、第1グランド導体の中央領域は、第1グランド導体の両端領域よりも第1主面側に配設されており、第1グランド導体の中央領域と両端領域は、誘電体素体の厚み方向に伸長する層間接続導体によって接続されていてもよい。
この構成では、信号導体の中央領域と第1グランド導体との間隔を、信号導体の両端領域と第1グランド導体との間隔よりも広くする具体的な態様を示しており、第1グランド導体における信号導体の中央領域に対向する部分と信号導体の両端領域に対向する部分を異なる層に形成する態様を示している。
また、この発明の高周波伝送線路では、次の構成を備えていてもよい。高周波伝送線路のグランド導体は、信号導体よりも第2主面側に、信号導体に沿う形状であり厚み方向において信号導体と重ならない形状で形成され、信号導体を誘電体素体の幅方向に沿って挟むように配設された二本の長尺導体を有する第2グランド導体を備える。長尺導体の中央領域に対応する部分の幅は、両端領域に対応する部分の幅よりも狭い。
この構成では、信号導体と厚み方向に殆ど対向しない第2グランド導体のみを備えている態様、もしくは、第1グランド導体と第2グランド導体とで信号導体を挟み込む態様を示している。そして、第2グランド導体における信号導体の中央領域に対向する部分の幅を、信号導体の両端領域に対向する部分の幅よりも狭くすることで、信号導体の幅が広くなったことによる特性インピーダンスの変化を抑制できる。
また、この発明の高周波伝送線路では、次の構成であってもよい。高周波伝送線路の第2グランド導体は、二本の長尺導体を信号伝送方向に沿って間隔をおいて接続する複数のブリッジ導体を備える。信号導体の中央領域に対応する部分のブリッジ導体の幅は、両端領域に対応する部分のブリッジ導体の幅よりも狭い。
この構成では、二本の長尺導体を接続するブリッジ導体を第2グランド導体に備える態様を示している。ブリッジ導体は、構造上、信号導体と対向するが、中央領域に対応する部分のブリッジ導体の幅が、両端領域に対応する部分のブリッジ導体の幅よりも狭いことで、信号導体の幅が広くなったことによる特性インピーダンスの変化を抑制できる。
また、この発明の高周波伝送線路では、中央領域に対応する部分での複数のブリッジ導体の間隔は、両端領域に対応する部分での複数のブリッジ導体の間隔よりも広いことが好ましい。
この構成では、信号導体の中央領域における信号導体とブリッジ導体との対向箇所の個数が、信号導体の両端領域における信号導体とブリッジ導体との対向箇所の個数よりも少なくなる。したがって、信号導体の幅が広くなったことによる特性インピーダンスの変化を抑制できる。
また、この発明の高周波伝送線路では、誘電体素体における信号導体と第1グランド導体に挟まれる中央領域の誘電率は、信号導体と第1グランド導体に挟まれる中央領域の誘電率よりも低くてもよい。
この構成であっても、信号導体の幅が広くなったことによる特性インピーダンスの変化を抑制できる。
また、この発明の電子機器は、上述のいずれかに記載の高周波伝送線路と、高周波伝送線路によって接続され高周波伝送線路によって信号を送受信する第1回路部および第2回路部と、を備えたことを特徴としている。
この構成では、上述の高周波伝送線路を用いることで、電子機器内で低損失に高周波信号を送受信することができ、電子機器の性能を向上させることができる。
この発明によれば、高周波信号の伝送による熱損失を抑制することができる。これにより、高周波信号を低損失に伝送することができる。
本発明の第1の実施形態に係る高周波伝送線路について、図を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る高周波伝送線路の外観斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る高周波伝送線路の分解斜視図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る高周波伝送線路を構成する各層の導体パターンを示す平面図である。図3(A)は各導体パターンの重なり状態を示す図であり、図3(B)は第2グランド導体を示し、図3(C)は信号導体を示し、図3(D)は第1グランド導体を示す。
図4は、図3のA-A断面図、B-B断面図、およびC-C断面図である。なお、図の見やすさを優先して、図1、図2では第1主面側が上側となるように図示しており、図3、図4では、第2主面側が上側となるように図示している。
高周波伝送線路10は、誘電体素体200、レジスト膜31,32、およびコネクタ41,42を備える。誘電体素体200は、一方向に伸長する長尺状の平板からなる。以下では、伸長する方向を長尺方向と称し、当該長尺方向と厚み方向に直交する方向を短尺方向と称する。そして、誘電体素体200における長尺方向に平行で厚み方向に直交する面(厚み方向の両端面)を、それぞれ第1主面および第2主面と称する。
レジスト膜31は、誘電体素体200の第1主面の全面に配設されており、レジスト膜32は、誘電体素体200の第2主面の全面に配設されている。レジスト膜31,32は、絶縁性を有する材料からなる。
コネクタ41は、誘電体素体200における長尺方向の一方端に配設されている。コネクタ42は、誘電体素体200における長尺方向の他方端に配設されている。コネクタ41,42は、誘電体素体200の第1主面に配設されている。
図2に示すように、誘電体素体200は、誘電体層201,202,203を厚み方向に積層してなる。誘電体層201,202,203は、可撓性を有する絶縁性樹脂からなり、例えば液晶ポリマを材料としている。各誘電体層201,202,203の厚みは10μm~100μm程度である。液晶ポリマからなる誘電体層201,202,203を用いる場合、積層後、熱圧着することで各誘電体層間の界面を接合することにより、誘電体素体200が作製される。誘電体層201側が誘電体素体200の第1主面側であり、誘電体層203側が誘電体素体200の第2主面側である。
誘電体素体200は、機能的には主線路部と外部接続部とからなり、主線路部の長尺方向の両端にそれぞれ外部接続部が備えられている。外部接続部の幅(短尺方向の長さ)は、主線路部の幅(短尺方向の長さ)よりも広い。
(主線路部の構造)
第1グランド導体210は、誘電体層201の第1主面側の略全面に形成されている。第1グランド導体210には、複数の開口部211L,211Sが設けられている。開口部211Lと開口部211Sは開口面積が異なる。開口部211Lは、第1グランド導体210における長尺方向の中央領域ReCに設けられている。ここで、中央領域ReCとは、例えば、長尺方向の全長を三分割した真ん中の領域である。複数の開口部211Sは、開口部211Lの配設範囲を挟んで長尺方向の両側(両端部ReEの中央領域ReC側の範囲)に設けられている。
誘電体層202の第2主面側(誘電体層201と反対側)の面には、信号導体220が配設されている。信号導体220も、導電性の高い材料からなり、例えば銅(Cu)等の金属箔からなる。
信号導体220は、誘電体層202の長尺方向に沿って伸長する長尺状からなる。信号導体220は、誘電体層202(誘電体素体200)の幅方向の略中央に配設されている。信号導体220は、長尺方向の両端部の幅WCよりも中央領域ReCの幅WAの方が広くなる形状からなる。
また、信号導体220は、図3に示すように、長尺方向の両端部から中央領域ReCに向かって、幅が徐々に広くなるように、設けられている。具体的には、図4に示すように、中央領域ReCの幅WAは両端部の幅WCよりも広く、中央領域ReCと両端領域ReEの境界付近の幅WBは、中央領域ReCの幅WAと両端部の幅WCとの間の幅である。この際、信号導体220の幅は、図3に示すように、長尺方向の両端部から中央領域ReCに向かって連続的に広くなるようにすることが好ましい。なお、本実施形態の高周波伝送線路10では、信号導体220の中央領域ReCにおいて幅WAは略一定である。
このような構成により、信号導体220の中央領域ReCの純抵抗(直流抵抗)は両端領域ReEの純抵抗(直流抵抗)よりも小さくなり、信号導体220は長尺方向の中央に向かうほど純抵抗(直流抵抗)が小さくなる。これにより、信号導体220は、長尺方向の中央領域ReCの方が両端領域ReEよりも熱損失が小さくなり、長尺方向の中央に向かうほど熱損失が小さくなる。これにより、従来の構成における課題に示したような、信号導体220の熱損失による伝送損失を抑制することができる。
誘電体層203の第2主面側(レジスト膜32が配設される側)の面には、第2グランド導体230が配設されている。第2グランド導体230は、梯子形状からなり、長尺導体231,232、およびブリッジ導体233を備える。長尺導体231,232およびブリッジ導体233は、他の導体と同様の材料(例えば、銅等の金属箔)からなる。
長尺導体231,232は、誘電体層203の長尺方向に沿って伸長する形状で形成されている。長尺導体231,232は、誘電体層203の幅方向(短尺方向)の両端付近に形成されている。この際、長尺導体231,232は、誘電体素体200の第1主面および第2主面に直交する方向に見て、信号導体220と重ならないように配設されている。長尺導体231,232は一定の幅からなる。
ブリッジ導体233は、誘電体層203の長尺方向に沿って間隔を空けて、複数配設されている。複数のブリッジ導体233は、矩形であり、長尺導体231,232を接続している。言い換えれば、長尺導体231,232は、長尺方向に沿って間隔を空けて複数箇所で、ブリッジ導体233によって接続されている。そして、この構成により、ブリッジ導体233で接続される部分の間は、開口領域234となる。言い換えれば、第2グランド導体230には、長尺方向に沿って複数の開口領域234が配設されている。
第1グランド導体210と第2グランド導体230は、誘電体層201,202,203を貫通するように形成された層間接続導体290によって接続されている。より具体的には、第2グランド導体230を構成する長尺導体231,232がブリッジ導体233に接続する部分と第1グランド導体210とが、層間接続導体290によって接続されている。
層間接続導体290は、例えばビアホール導体であり、例えばAg,Ni,Cu,Snから選ばれる1つもしくは複数の金属を含む導電性ペーストを、誘電体層201,202,203に設けた孔に付与し、熱により金属化(焼結)させることにより形成される。液晶ポリマからなる誘電体層201,202,203を用いる場合、誘電体層201,202,203を熱圧着する工程における熱により、孔に付与された導電性ペーストを金属化させる。
この構成により、第1グランド導体210と第2グランド導体230を略同電位、すなわち、これらの導体をグランド電位にすることができる。
そして、このような構成とすることで、信号導体220を主線路とするトリプレート型の高周波伝送線路10が薄型で形成される。この際、高周波伝送線路10では、信号導体220と第1グランド導体210との結合が強いので、第1グランド導体210がメイングランドとなり、第2グランド導体230がサブグランドとなる。また、第2グランド導体230によって、信号導体220から外部へ漏洩する電磁波を抑圧するとともに、開口領域234が設けられていることで可撓性を高くすることができる。
なお、当該高周波伝送線路10の特性インピーダンスは、信号導体220と第1グランド導体210の形状や位置関係、および誘電体素体200の材質特性によって基本的に決定される。すなわち、信号導体220の幅、および信号導体220とグランド導体211との距離D01によって、基本的な特性インピーダンスは決定される。さらに、信号導体220と第2グランド導体230との位置関係や距離D02等に基づく信号導体220と第2グランド導体230との結合を加味して、最終的に所望とする特性インピーダンス(例えば50Ω)に設定される。
例えば、具体的には、図4に示すように、誘電体層201,202の合計の厚みD01を誘電体層203の厚みD02よりも厚くすることで、信号導体220と第1グランド導体210との距離を誘電体素体200の厚みの半分以上にする。すなわち、信号導体220は、誘電体素体200の厚み方向において、厚み方向の中心よりも第1グランド導体210側と反対側にオフセットして配設されている。このような構成により、信号導体220と第1グランド導体210との容量性結合を低減して、特性インピーダンスを所望値に近づくように設定している。
さらに、本実施形態の構成では、上述のように、信号導体220の幅が長尺方向によって変化する。具体的には、図4に示すように、中央領域ReCの幅WAは両端領域ReEの幅WB,WCよりも広く、両端領域ReE内においても、中央領域ReC側の幅WBは、端部側の幅WCよりも広い。さらに、図3に示すように、信号導体220の幅は、長尺方向の両端部から中央領域ReCに向かって連続的に広くなるようにすることが好ましい。
したがって、第1グランド導体210の形状が中央領域ReCと両端領域ReEとで同じであれば、中央領域ReCの方が両端領域ReEよりも、信号導体220と第1グランド導体210との間の容量性結合が高くなる。これにより、中央領域は両端領域よりも、特性インピーダンスが低くなってしまう。
しかしながら、本実施形態の高周波伝送線路10では、第1グランド導体210の中央領域ReCに信号導体220と少なくとも一部が重なる複数の開口部211Lが設けられていることで、信号導体220と第1グランド導体210との対向面積を小さくすることができる。信号導体220の幅が広くなることによる静電容量の増加を、複数の開口部211Lを設けることによる静電容量の低下で相殺できる。これにより、信号導体の220の幅が広くなることによって高周波伝送線路10の中央領域ReCの特性インピーダンスが変化することを抑制できる。
さらに、本実施形態では、両端領域ReEの中央領域ReC側の範囲にも、信号導体220と少なくとも一部が重なる複数の開口部211Sを設けている。この両端領域ReEの中央領域ReC側の範囲は、中央領域ReCよりも信号導体220の幅は狭いが、両端と比較すると信号導体220の幅は広い。したがって、複数の開口部211Sを設けることで、中央領域ReCと同様に、特性インピーダンスが変化することを抑制できる。
この際、中央領域ReCでの信号導体220の幅WAと比較して、両端領域ReEの中央領域ReC側の範囲での信号導体220の幅WBが狭いのに応じて、複数の開口部211Sによる開口面積は、複数の開口部211Lによる開口面積よりも小さい。これにより、長尺方向の位置に応じて開口面積が調整されるので、長尺方向のいずれの位置であっても、高周波伝送線路10の特性インピーダンスを殆ど変化させない。
これにより、高周波伝送線路10は、全体として所望の特性インピーダンスに設定することができ、特性インピーダンスの不一致による伝送損失を抑制することができる。
以上のように、本実施形態の構成を用いれば、熱損失を含む伝送損失を抑制した低損失な高周波伝送線路を実現することができる。
なお、本実施形態では、図3に示すように、開口部211L,211Sは、誘電体素体200を平面視して、少なくとも一部が信号導体220に重なるように配設しているが、重ならないように配設することも可能である。しかしながら、少なくとも一部が信号導体220に重なるように開口部211L,211Sを配設することで、より効果的に特性インピーダンスを調整することができ、好適である。
また、開口部211L,211Sは、開口面積を変えるだけでなく、配設間隔を変えてもよい。また、開口部211L,211Sの開口面積を同じにして、配設間隔だけを変えてもよい。
また、本実施形態の中央領域の設定例は一例であり、長尺方向の全長を四分割した真ん中の二つの領域を中央領域としてもよく、長尺方向の全長を五分割した真ん中の三つの領域を中央領域としてもよい。これらは、信号導体を幅広にしない状態での高周波伝送線路10の熱分布に基づいて設定すればよい。
さらに、本実施形態では、二種類の開口部211L,211Sを設ける例を示したが、中央領域ReC等の区切りをつけることなく、信号導体220の幅が広くなるのにしたがって、開口部の開口面積を広げるようにしてもよい。
(外部接続部の構造)
また、外部接続部でも、第1グランド導体210と第2グランド導体230は、複数の層間接続導体290によって接続されている。
レジスト膜31には、開口領域310が設けられており、第1グランド導体210の一部と外部接続用導体パターン213は、開口領域310を介して第1主面側で外部に露出している。この露出された第1グランド導体210と外部接続用導体パターン213に対してコネクタ41,42が実装されている。
以上のような構成からなる高周波伝送線路は、例えば次に示すように製造される。
まず、片面銅貼りの液晶ポリマシートである第1、第2、第3の誘電体シートを用意する。第1の誘電体フィルムの第1主面側に、フォトリソグラフィー技術などを用いたパターニング処理により、第1グランド導体211、外部接続用導体パターン213を形成する。第2の誘電体フィルムの第2主面側に、パターニング処理により、信号導体220を形成する。第3の誘電体フィルムの第2主面側に、パターニング処理により、第2グランド導体231,232を形成する。なお、第1、第2、第3の誘電体フィルムには、各導体との組が、それぞれ複数個、配列形成されている。
第1、第2、第3の誘電体シートにおける層間接続導体290を形成すべき位置に、貫通孔を設けて導電性ペーストを充填する。
第1、第2、第3の誘電体シートを積層し、熱圧着する。この熱圧着により、導電性ペーストが焼結し、層間接続導体290が形成される。これにより、誘電体素体200が複数配列形成された積層誘電体シートが形成される。
誘電体素体200にレジスト膜31,32を塗布し硬化させ、また、はんだ等の導電性材料を用いてコネクタ41,42を実装する。これにより、複数の高周波伝送線路10が配列形成された複合体が形成される。この複合体から、それぞれ個別の高周波伝送線路10を切り出す。
上述の構造からなる高周波伝送線路10は、次に示す携帯電子機器に用いることができる。図5(A)は本発明の第1の実施形態に係る携帯電子機器の部品構成を示す側面断面図であり、図5(B)は当該携帯電子機器の部品構成を説明する平面断面図である。
携帯電子機器70は、薄型の機器筐体71を備える。機器筐体71内には、実装回路基板72A,72Bと、バッテリーパック700が配設されている。実装回路基板72A,72Bの表面には、複数のICチップ74および実装部品75が実装されている。実装回路基板72A,72Bおよびバッテリーパック700は、機器筐体71を平面視して、実装回路基板72A,72B間にバッテリーパック700が配設されるように、機器筐体71に設置されている。ここで、機器筐体71はできる限り薄型に形成されているので、機器筐体71の厚み方向においては、バッテリーパック700と機器筐体71との間隔が極狭い。したがって、この間に同軸ケーブルを配設することができない。
しかしながら、本実施形態に示した高周波伝送線路10を、当該高周波伝送線路10の厚み方向と、機器筐体71の厚み方向とが一致するように配設することで、バッテリーパック700と機器筐体71との間に、高周波伝送線路10を通すことができる。そして、実装回路基板72Aにコネクタ41を装着し、実装回路基板72Bにコネクタ42を装着する。これにより、バッテリーパック700を中間に配して離間された実装回路基板72A,72Bを、高周波伝送線路10によって接続することができる。この際、高周波伝送線路10は可撓性を有するので、バッテリーパック700が中間に配置されていても、当該バッテリーパック700の表面を沿うように配置でき、実装回路基板72A,72Bを確実に接続することができる。
さらに、本実施形態に示したように、高周波伝送線路10は、低損失に高周波信号伝送できるので、実装回路基板72A,72B間で、高周波信号を低損失に送受信することができる。
また、上述の構造からなる高周波伝送線路10は、次に示す通信機器モジュールにも用いることができる。図6は本発明の第1の実施形態に係る通信機器モジュールの構成を示す側面図である。
通信機器モジュール70Aは、フロントエンド基板711、アンテナ基板712、および高周波伝送線路10’によって構成される。フロントエンド基板711の実装面には、高周波フロントエンド回路を実現する各種の回路部品が実装されている。アンテナ基板712には、アンテナ導体720が形成されている。アンテナ基板712は、フロントエンド基板711の実装面側に、当該フロントエンド基板711から離間して配置されている。
高周波伝送線路10’は、一方端のコネクタ41が第1主面側に装着され、他方端のコネクタ42が第2主面側に装着されている。その他の構造は、上述の高周波伝送線路10と同じである。高周波伝送線路10’のコネクタ41は、アンテナ基板712におけるフロントエンド基板711側の面に接続されている。高周波伝送線路10’のコネクタ42は、フロントエンド基板711におけるアンテナ基板712側の面(実装面)に接続されている。高周波伝送線路10’は、可撓性を有するので、伸長方向の途中に屈曲部を形成することができる。このように、屈曲部を形成することで、高周波伝送線路10’は、回路部品に接触しないような形状に成形された状態で、フロントエンド基板711とアンテナ基板712とを接続することができる。
そして、本実施形態に示したように、高周波伝送線路10’は、低損失に高周波信号伝送できるので、フロントエンド基板711とアンテナ基板712との間で、高周波信号を低損失に送受信することができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る高周波伝送線路について、図を参照して説明する。図7は、本発明の第2の実施形態に係る高周波伝送線路を構成する各層の導体パターンを示す平面図である。図7(A)は各導体パターンの重なり状態を示す図であり、図7(B)は第2グランド導体を示し、図7(C)は信号導体を示し、図7(D)は第1グランド導体を示す。
図7に示すように、本実施形態の高周波伝送線路10Aは、第1の実施形態に係る高周波伝送線路10に対して、第1グランド導体210に開口部が設けられておらず、第2グランド導体230Aの形状が異なるものである。したがって、第1の実施形態に係る高周波伝送線路10と異なる箇所のみを具体的に説明する。
第1グランド導体210は、開口部を有さない誘電体層の全面に形成された導体パターンである。
第2グランド導体230Aは、長尺導体231A,232Aからなる。長尺導体231A,232Aは、誘電体素体の長尺方向に沿って伸長する長尺状であり、長尺方向の位置によって幅が異なる。具体的には、長尺導体231A,232Aの長尺方向の両端部の幅WD1は、長尺導体231A,232Aの長尺方向の中央の幅WD4よりも広い。また、長尺導体231A,232Aの中央領域ReCと両端領域ReEとの境界付近の幅WD3は、両端部の幅WD1よりも狭く、長尺方向の中央の幅WD4よりも広い。
また、長尺導体231A,232Aの幅は、長尺方向の中央に近づくにしたがって狭くなっている。この際、部分的に長尺方向に沿って幅が変化しない領域が存在してもよく、本実施形態の例であれば、長尺方向の両端部近傍と中央領域ReCのさらに中央部分では幅が変化しない。
長尺導体231A,232Aにおける誘電体素体の短尺方向の両端側の辺は、長尺方向に沿って一直線になっている。
このような構成とすることで、長尺導体231A,232Aの間隔(短尺方向に沿った距離)は、長尺方向に近づくほど広くなる。例えば、具体的には、図7に示すように、長尺導体231A,232Aの長尺方向の中央での間隔G4は、長尺導体231A,232Aの長尺方向の両端部での間隔G1よりも広い。また、長尺導体231A,232Aの中央領域ReCと両端領域ReEとの境界付近での間隔G3は、両端部での間隔G1よりも広く、長尺方向の中央での間隔G4よりも狭い。
このように、本実施形態の構成では、信号導体220の幅が広くなるほど、長尺導体231A,232Aの間隔が狭くなる。したがって、信号導体220の幅が広くなることによる信号導体220と長尺導体231A,232Aとの静電容量結合の増加を抑制できる。これにより、信号導体220の幅が広くなることによる特性インピーダンスの変化を抑制できる。
さらに、本実施形態の高周波伝送線路10Aでは、ブリッジ導体の幅も長尺方向の位置によって変化する。例えば、具体的には、図7に示すように、具体的には、長尺方向の中央領域ReCに配設されたブリッジ導体2333の幅W4は、長尺方向の両端部付近に配設されたブリッジ導体2331の幅W1よりも狭い。また、長尺方向の中央領域ReCと両端領域ReEとの境界付近に配設されたブリッジ導体2332の幅W3は、両端部の幅W1よりも狭く、中央領域の幅W4よりも広い。すなわち、ブリッジ導体の幅は、長尺方向の中央に近づくにしたがって狭くなっている。
このような構成により、長尺方向の中央に近づくほど、信号導体とブリッジ導体との対向面積を小さくでき、信号導体とブリッジ導体との静電容量結合を小さくできる。これにより、信号導体220の幅が広くなることによる特性インピーダンスの変化をさらに抑制できる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る高周波伝送線路について、図を参照して説明する。図8は、本発明の第3の実施形態に係る高周波伝送線路の分解斜視図である。
図8に示すように、本実施形態の高周波伝送線路10Bは、第1の実施形態に係る高周波伝送線路10に対して、第1グランド導体210に開口部が設けられておらず、信号導体220Bの形状が異なるものである。したがって、第1の実施形態に係る高周波伝送線路10と異なる箇所のみを具体的に説明する。
誘電体素体200Bは、誘電体層201,2021,2022,203を積層してなる。第1グランド導体210は、誘電体層201の全面に配設されている。すなわち、第1グランド導体210には、第1の実施形態に示したような開口部が設けられていない。
信号導体220Bは、誘電体素体200B内の異なる二層に分けて配設された信号導体220B1,220B2からなる構造を有する。
信号導体220B1は、誘電体層2021に配設されている。信号導体220B1は、誘電体層2021の両端領域ReEに対応する領域に配設されている。信号導体220B1は、長尺方向の中央に近づくほど幅広である。
信号導体220B2は、誘電体層2022に配設されている。信号導体220B2は、誘電体層2022の中央領域ReCに対応する領域に配設されている。信号導体220B2は、長尺方向に沿って全長に亘り略同じ幅からなるが、長尺方向の中央に近づくほど幅広となっていることが好ましい。
そして、本実施形態の構成では、誘電体素体200Bを平面視して、長尺方向に沿って、信号導体220B2は、二本の信号導体220B1の間の領域に形成されている。信号導体220B2の両端は、誘電体素体200Bを平面視して、二本の信号導体220B1のそれぞれと重なっている。この信号導体220B1,220B2が重なっている部分は、層間接続導体290によって接続されている。
このような構成により、信号導体220B1,220B2および層間接続導体290からなる信号導体220Bは、誘電体素体200Bを平面視して、第1の実施形態に示した信号導体220と同じ形状となる。
さらに、本実施形態の構成では、中央領域ReCの信号導体220B2は、両端領域ReEの信号導体220B1よりも、誘電体層2022の厚み(熱圧着後の厚み)分だけ、第1グランド導体210から離間する。これにより、中央領域ReCの信号導体220B2と第1グランド導体210とによる静電容量結合の大きさは、両端領域ReEの信号導体220B1と第1グランド導体210とによる静電容量結合の大きさよりも小さくなる。
したがって、中央領域ReCの信号導体220B2の幅が両端領域ReEの信号導体220B1の幅よりも広いことによる静電容量の変化を相殺することできる。これにより、信号導体220B2を信号導体220B1よりも幅広にすることによる特性インピーダンスの変化を抑制でき、低損失な高周波伝送線路10Bを実現することができる。
なお、図8では、信号導体220B1,220B2を接続する層間接続導体290は、それぞれ一つずつしか図示していないが、複数個であってもよい。
次に、本発明の第4の実施形態に係る高周波伝送線路について、図を参照して説明する。図9は、本発明の第4の実施形態に係る高周波伝送線路の分解斜視図である。
図9に示すように、本実施形態の高周波伝送線路10Cは、第1の実施形態に係る高周波伝送線路10に対して、第1グランド導体210Cに開口部が設けられておらず、さらに第1グランド導体210Cの形状が異なるものである。したがって、第1の実施形態に係る高周波伝送線路10と異なる箇所のみを具体的に説明する。
誘電体素体200Cは、誘電体層2012,2011,2022,203を積層してなる。第1グランド導体210Cは、誘電体素体200C内の異なる二層に分けて配設された第1グランド導体210C1,210C2からなる構造を有する。
第1グランド導体210C1は、誘電体層2011の第1主面側(誘電体層202と反対側)の面に配設されている。第1グランド導体210C1は、誘電体層2011の両端領域ReEの略全面に亘って配設されている。
第1グランド導体210C2は、誘電体層2012の第1主面側(誘電体層2011と反対側)の面に配設されている。第1グランド導体210C2は、誘電体層2012の中央領域ReCの略全面に配設されている。
そして、本実施形態の構成では、誘電体素体200Cを平面視して、長尺方向に沿って、第1グランド導体210C2は、二つの第1グランド導体210C1の間の領域に形成されている。第1グランド導体210C2の両端は、誘電体素体200Cを平面視して、二つの第1グランド導体210C1のそれぞれと重なっている。この第1グランド導体210C1,210C2が重なっている部分は、複数の層間接続導体290によって接続されている。
このような構成により、第1グランド導体210C1,210C2および複数の層間接続導体290からなる第1グランド導体210Cは、誘電体素体200Cを平面視して、第1の実施形態に示した第1グランド導体210と同じ形状となる。
さらに、本実施形態の構成では、中央領域ReCの信号導体第1グランド導体210C2は、両端領域ReEの第1グランド導体210C1よりも、誘電体層2012の厚み(熱圧着後の厚み)分だけ、信号導体220から離間する。これにより、中央領域ReCの信号導体220と第1グランド導体210C2とによる静電容量結合の大きさは、両端領域ReEの信号導体220と第1グランド導体210C1とによる静電容量結合の大きさよりも小さくなる。
したがって、信号導体220の中央領域ReCの幅が両端領域ReEの幅よりも広いことによる静電容量の変化を相殺することできる。これにより、信号導体220の中央領域ReCの部分を両端領域ReEの部分よりも幅広にすることによる特性インピーダンスの変化を抑制でき、低損失な高周波伝送線路10Cを実現することができる。
次に、本発明の第5の実施形態に係る高周波伝送線路について、図を参照して説明する。図10は、本発明の第5の実施形態に係る高周波伝送線路の開口部形状を示す図である。図10(A)と図10(B)は異なる態様を示している。
本実施形態に係る高周波伝送線路は、開口部の形状が第1の実施形態に係る高周波伝送線路10と異なるものであり、他の構成は同じである。したがって、開口部の形状のみを具体的に説明する。
図10(A)に示すように、高周波伝送線路10Dでは、第1グランド導体210に開口部211Dが設けられている。開口部210Dは、誘電体素体の長尺方向に沿って短尺方向の長さ(開口幅)が変化する形状からなる。開口部210Dの開口幅は、長尺方向の中央領域で広く、両端領域で狭い。例えば、図10(A)に示すように、開口部210Dは、平面視して、長尺方向が長軸方向となる楕円もしくは長円形状に設けられている。
このような構成では、信号導体220の幅が広くなるほど、開口部210Dの開口幅も広くなる。これにより、第1の実施形態と同様に、特性インピーダンスの変化を抑制し、高周波信号を低損失に伝送することができる。
図10(B)に示すように、高周波伝送線路10Eでは、第1グランド導体210に複数の開口部211Eが配列して設けられている。各開口部211Eは開口形状が矩形であり、当該矩形の一辺の長さは、長尺方向の中央に近づくほど長い。具体的に、図10(B)の場合であれば、中央付近の開口部211Eの一辺の長さLC1は、当該一辺の長さLC1の開口部211Eよりも、長尺方向の端部に近い側に配置された開口部211Eの一辺の長さLC2よりも長い。さらに、この一辺の長さLC2は、当該一辺の長さLC2の開口部211Eよりも、長尺方向の端部に近い側に配置された開口部211Eの一辺の長さLC3よりも長い。すなわち、LC1>LC2>LC3の関係にある。これにより、開口部211Eは、長尺方向の中央に近づくほど開口面積が大きくなる。
また、図10(B)に示すように、中央付近の開口部211Eの長尺方向に沿った配置間隔PC1は、長尺方向の端部に近い側に配置された開口部211Eの長尺方向に沿った配置間隔PC2よりも狭い。
このような構成による、第1グランド導体210における第1グランド導体210に対する長尺方向の中央領域の開口面積の割合ARC1は、第1グランド導体210に対する長尺方向の中央領域の開口面積の割合ARC2よりも大きい。これにより、第1の実施形態と同様に、特性インピーダンスの変化を抑制し、高周波信号を低損失に伝送することができる。
なお、本発明において、信号導体とグランド導体との対向面積は両端領域よりも中央領域の方が広い、もしくは、信号導体とグランド導体との距離は両端領域よりも中央領域の方が長い、という関係を有するグランド電極を有する限り、第1グランド導体または第2グランド導体のいずれか一方は必ずしも設けなくてもよい。この場合、高周波伝送線路はマイクロストリップライン構造となる。
また、上述の各実施形態の構成は、必要に応じて組み合わせて用いることができる。例えば、(1)第1グランド導体に開口部を形成する構成、(2)第1グランド導体と信号導体との中央領域ReCでの間隔を両端領域ReEでの間隔よりも広くする構成、を組み合わせてもよい。
また、上述の各実施形態の構成では、信号導体とグランド導体との対向面積または距離の少なくとも一方を中央領域と両端領域で変化させる例を示したが、誘電体層の誘電率を変化させてもよい。例えば、誘電体層の中央領域の誘電率を、両端領域の誘電率よりも低くすればよい。誘電率を低くする態様としては、誘電体層に貫通穴や溝を設けたり、誘電率の低い材質を用いればよい。
10,10’,10A,10B,10C,10D,10E:高周波伝送線路 A high-frequency transmission line (10) is provided with a dielectric element (200) obtained by stacking dielectric layers (201, 202, 203). Resist films (31, 32) are respectively located on the two principal surfaces of the dielectric element (200). A first ground conductor (210) is located on substantially the entire resist film (31)-side surface of the dielectric layer (201). A signal conductor (220) having an elongated shape is located on the dielectric layer (203)-side surface of the dielectric layer (202). A ladder-shaped second ground conductor (230) is located on the resist film (32)-side surface of the dielectric layer (203). The signal conductor (220) is shaped so that the width increases towards the center along the direction of elongation. The first ground conductor (210) has a plurality of openings (211L) provided in the center region along the direction of elongation, and has a plurality of openings (211S) having a small opening area provided so as to flank the region in which the openings (211L) are located.
互いに対向する第1主面と第2主面とを有する誘電体素体と、
前記誘電体素体は、主線路部と、主線路部の両端に設けられる複数の外部接続部とを備え、
前記信号導体の幅は、前記伸長方向に沿って連続的に変化している、
前記信号導体と前記グランド導体との対向面積は前記両端領域よりも中央領域の方が広い、もしくは、前記信号導体と前記グランド導体との距離は前記両端領域よりも前記中央領域の方が長い、
前記グランド導体は、前記信号導体よりも前記第1主面側に、前記信号導体に沿う形状で形成された第1グランド導体を備え、
前記第1グランド導体は、前記信号導体の前記中央領域と対向する範囲に開口部が設けられている、
前記信号導体の幅の変化に対応して、前記第1グランド導体の単位面積における前記開口部の面積の割合が変化する、
前記信号導体の前記中央領域における前記第1グランド導体と前記信号導体の間隔が前記信号導体の前記両端領域における前記第1グランド導体と前記信号導体の間隔よりも広い、
前記信号導体の前記中央領域は、前記信号導体の前記両端領域よりも前記第2主面側に配設されており、
前記第1グランド導体の前記中央領域は、前記第1グランド導体の前記両端領域よりも前記第1主面側に配設されており、
前記グランド導体は、前記信号導体よりも前記第2主面側に、前記信号導体に沿う形状であり前記厚み方向において前記信号導体と重ならない形状で形成され、前記信号導体を前記誘電体素体の幅方向に沿って挟むように配設された二本の長尺導体を有する第2グランド導体を備え、
前記第2グランド導体は、前記信号伝送方向に沿って間隔をおいて前記二本の長尺導体を接続する複数のブリッジ導体を備え、
前記中央領域に対応する部分での前記複数のブリッジ導体の間隔は、前記両端領域に対応する部分での前記複数のブリッジ導体の間隔よりも広い、
前記誘電体素体における前記信号導体と前記第1グランド導体に挟まれる前記中央領域の誘電率は、前記信号導体と前記第1グランド導体に挟まれる前記中央領域の誘電率よりも低い、
請求項1乃至請求項14のいずれかに記載の高周波伝送線路と、
誘電体層201の第1主面側(レジスト膜31が配設される側)の面には、第1グランド導体210が配設されている。第1グランド導体210は、導電性の高い材料からなり、例えば銅(Cu)等の金属箔からなる。
図2に示すように、外部接続部では、第1グランド導体210には、外部接続用開口部212が設けられている。開口部212の中央には、外部接続用導体パターン213が配設されている。外部接続用導体パターン213は、層間接続導体290によって、信号導体220の端部に接続されている。
200,200A,200B,200C:誘電体素体
201,202,203,2011,2012,2021,2022:誘電体層
210,210C,210C1,210C2:第1グランド導体
211L,211S,211D,211E:開口部
212:外部接続用開口部
213:外部接続用導体パターン
220,220B,220B1,220B2:信号導体
230,230A:第2グランド導体
231,232,231A,232A:長尺導体
233,2331,2332,2333:ブリッジ導体
234,2341,2342,2343:開口部
290:層間接続導体
31,32:レジスト膜
310:開口領域
41,42:コネクタ
70:携帯電子機器
70A:通信機器モジュール
71:機器筐体
72A,72B:実装回路基板
74:ICチップ
75:実装部品
711:フロントエンド基板
712:アンテナ基板
720:アンテナ導体
前記誘電体素体に設けられた信号伝送方向に伸長する形状の信号導体と、
前記誘電体素体における前記信号導体と異なる層に形成されたグランド導体と、
を備え、
前記信号導体の前記伸長方向の中央領域の幅は、前記伸長方向の両端領域の幅よりも大きい、
高周波伝送線路。
前記主線路部の中央領域における前記信号導体の幅は、複数の外部接続部近傍の前記信号導体の幅よりも大きい、請求項1に記載の高周波伝送線路。
請求項1または請求項2に記載の高周波伝送線路。
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の高周波伝送線路。
該第1グランド導体は、前記信号導体の前記中央領域における対向面積が前記信号導体の前記両端領域における対向面積よりも小さい、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の高周波伝送線路。
請求項5に記載の高周波伝送線路。
請求項6に記載の高周波伝送線路。
請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の高周波伝送線路。
前記信号導体の前記中央領域と前記両端領域は、前記誘電体素体の厚み方向に伸長する層間接続導体によって接続されている、
請求項8に記載の高周波伝送線路。
前記第1グランド導体の前記中央領域と前記両端領域は、前記誘電体素体の厚み方向に伸長する層間接続導体によって接続されている、
請求項8または請求項9に記載の高周波伝送線路。
前記長尺導体の前記中央領域に対応する部分の幅は、前記両端領域に対応する部分の幅よりも狭い、
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の高周波伝送線路。
前記中央領域に対応する部分の前記ブリッジ導体の幅は、前記両端領域に対応する部分の前記ブリッジ導体の幅よりも狭い、
請求項11に記載の高周波伝送線路。
請求項12に記載の高周波伝送線路。
請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の高周波伝送線路。
前記高周波伝送線路によって接続され、前記高周波伝送線路によって信号を送受信する第1回路部および第2回路部と、
を備えた、電子機器。









